シェア
純白さが 病院の廊下を どこまでも追いかけてくる 私を外へ押し出す 時間が確認されたがって…
みずうみのほとりに病院があって みずぎわに少女が立っていて 少女なのに 病院に入っていて …
予兆は まったくなかった その日の夜も 食事前いつものように 若い連中とバカ話をしていた …
(すき間が生まれぬように細心の注意を払う)ガラガラガラ。古い玄関の引き戸が開き、閉まる。…
ことあるごとに 白い壁 圧迫してくる 何もかもの 白さ 食事の時間に 白い壁 薬といっしょ…
大輪の花が咲くことも 木の葉が枯れおちてゆくことも 成熟だという 季節にゆだね めぐる風に…
夏のさかり ひとりのベテランのOTR(作業療法士)が 病院を去った 正確には “去っていた” 「最近、見ないね」 私たちが知ったのは ずいぶん後のことだったから 事情があったのか 何らかの思いからか さよならなど 一言もなく 私たちの前から去っていった OTの先生は遊び相手のようなもの いや そう思わせることで 快方に導かせるもの だから 楽しい遊び相手だった その良い想い出しか浮かんでこない 一生けんめい 何をしているんだろうと思っていた 彼が最後に花壇をいじ
ギアは勝手に二段おりた 宿主を生き永らえさせるために 一段、詩のことはほぼ頭から消える …
生きれそうかね? 生きているかね? 生きてみるかね? 生きているのだからね。 (詩誌『詩…
その佇む桜の名前を 私は知らない 病院横の広い原っぱのようなグラウンドまで 長い石の階段…
ナースコールとラジカセのコードが 交差したまま放置されている おそらく 自分ではなく 街が…
みずうみに ばしゃっと飛び込む 水が四方八方にはね わたしは笑顔で浮かび上がる 謎が解ける…
静かな歩幅で 湖畔の夜が近づいている わずかな光にきらめく湖面 静かに 静かに 近づかねば…