詩|夏のさかりまでに
夏のさかり
ひとりのベテランのOTR(作業療法士)が
病院を去った
正確には “去っていた”
「最近、見ないね」
私たちが知ったのは
ずいぶん後のことだったから
事情があったのか
何らかの思いからか
さよならなど 一言もなく
私たちの前から去っていった
OTの先生は遊び相手のようなもの
いや そう思わせることで
快方に導かせるもの
だから 楽しい遊び相手だった
その良い想い出しか浮かんでこない
一生けんめい 何をしているんだろうと思っていた
彼が最後に花壇をいじっていた頃
*
百日草は
初夏から晩秋まで花を咲かせ続ける