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デイケア通所

主治医はいつも何も言わないため自分からデイケアに通所したい旨を伝え、通所することとなった。

しかし私はデイケアに過度な期待をしてしまっていたかもしれない。

うつ病を始めとして同じ精神疾患に苦しむ患者たちの集いなのだからすぐに打ち解けるものかと想像していたが第一印象は「この人たち本当に患者同士なのか?」だった。

やけによそよそしい。

今にして思えばある程度元気な、通所できる状態にある患者たちだし、入院していて同部屋というわけではないので、大人としてある程度の距離をとる人間が多かったように思う。当時は年齢も比較的年配の方が多く家庭を持っている男性が多かったのもあったと思う。(現在は比較的若年者が多いらしいので当時よりフランクとのことだ)(若いっていいよね!)

とはいえほぼ同じプログラムを受けているので少しずつ打ち解けていき何人かの友人も出来た。

プログラムとは認知行動療法などの心の持ち方を中心にカウンセラースタッフが講師となり授業形式で行っていくのだが、臨床心理士を始めカウンセリングを主な生業としてきたであろうスタッフたちの間にはかなり力量に差があったように感じた。

それぞれ何を専門に勉強してきたかの違いもあるしデイケアなどの施設があるクリニックの方が圧倒的少数なので今までカウンセリングしか経験してきていない人間が次の職場では講義形式で患者たちに授業をしてくださいと言われてもなかなか難しかったのではないかと想像する。

それでも上記に挙げた認知行動療法などはスタッフが優秀だったこともあり万人にとって役に立つ考え方なのではないかと思う。
私たちは心の持ち方という人生について最重要ともいえる課題について学校では全く勉強しないのだから。


他のデイケアのことは分からないが私が通所していたデイケアは創設者の毒舌おじいちゃん先生が言うように中途半端なデイケアとの印象はある。もっというとかなり適当である。
クリニックに併設されているとはいえほぼ無関係と言ってもよい。

医師が患者のデイケアでの過ごし方を見ることは絶対になく、受付が通所した日付をカルテに書くだけで医師がこの患者は週に何回はデイケアに通所しているんだなと理解する程度で、毎朝本日の体調などを記入するのだが医師はそれすら読んでいない。
人員基準で一人ついている看護師はそれを読んでいるが返答やコメント、声掛けはない。(デイケアの看護師は決定的にやることがないので妊娠して病棟勤務は出来ないがお金は稼ぎたいという女性看護師にうってつけの仕事である)。

少しずつ回復し通所しても疲れにくくなってきた私は元来の我儘さを取り戻し始める。
午後の講義は茶道や習字等伝統的なものが行われる日もあったのだがそういったものが苦手な私はその日は通所せずに好きなショッピングをしたりドライブに行ったりするようになった。
それでまた自分の回復を感じていたのだ。

そして半年が経ち、復職できる自信がついてきた。
休職期間も残り僅かということもあったがやはり一年近くも休職し病人として休んでいると普通に働き普通に収入を得る生活に戻りたいという欲がどんどんでてくる。
失ったものを取り戻したい。
特に何も言わない主治医からの許可も得て復職することとなった。
休職してから一年が経っていた。

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