ガンダム精神世界探索（４）アルテイシア　残されたシャアの「良心」

  アムロ・シャアをはじめとする主要キャラクターの行動からその心理を読み解き、ガンダム・ワールドの神髄に迫ります。 （2000年から2006年にかけて、本サイト「MUDDY WALKERS」で連載していたものを再掲）

セイラ・マスはシャアの正体を知る唯一の人物

　ブライト・ノアと別の意味で、この物語において非常に重要な位置を占めるのが、ホワイトベースの女性クルー、セイラ・マスである。彼女もアムロと同様＜サイド7＞の民間人で、すぐれた判断力と行動力を買われて、メインブリッジの通信席に座ることになる。のちにはニュータイプ能力ありと判断されてコア・ブースターのパイロットに抜擢され、戦場にも出る。

　このような冷静沈着な表向きの顔とは裏腹に、彼女には他のだれにも見せることのない、非常な「もろさ」を持ち合わせていた。それは「アルテイシア・ソム・ダイクン」という、彼女が隠すもう一つの顔である。彼女は地球連邦に逃れたジオン・ダイクンの娘、あのシャア・アズナブルという偽りの仮面をかぶって生きる男キャスバル・レム・ダイクンの妹であった。