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横浜スタジアムで見かけた渡邉諒ファンのお兄さん【6/29 対ドラゴンズ戦○】

佐藤輝明がスタメンを外れた横浜スタジアムの試合、僕は1塁側の席で試合を見ていた。スタメン発表が終わって程なくして、僕の座る席の後ろから、こんな声が聞こえてきた。

「えっ、渡邉諒スタメンじゃん。見たかったんだよなー」

後ろのお兄さん2人組は佐藤輝の代わりにサードで出場した渡邉諒に関心があるようだった。まさかベイスターズだらけの1塁側席から、渡邉諒の話が出てくるとは思わなかった。僕と同じタイガースファンなのだろうか。だがベイスターズもタイガースのグッズも身に着けていない。

2人組の会話に耳を傾けてみると、どうやら高校野球が好きらしい。すぐに東海大甲府高時代の渡邉諒がどれだけすごかったかを熱弁していた。高校時代の渡邉諒を、僕はおぼろげにしか記憶していない。オープン戦の甲子園で渡邉諒の登場曲がGReeeeNの「Pride」なことを知り、夏の甲子園に出場した年の熱闘甲子園のテーマソングをずっと使っていることに気づいた。

試合の途中、渡邉諒の守るサードに打球が飛んできた。サードで出場する選手なら難なくさばけそうな打球で、渡邉諒も難なく処理した。

「やっぱ上手いな~」
「あのグラブさばきがすごいんだよなー変わらないな~」

あのお兄さんのなかで、渡邉諒はずっと憧れの存在なのだろう。高校生の頃からずっと渡邉諒を追いかけて、思い出をたくさん共有しているお兄さんがちょっとうらやましくなった。

甲子園に戻ってきてから3試合目。渡邉諒がスタメンで起用された。クリーンナップに座る選手としてはちょっと寂しい成績。初めてのセリーグ、おまけに代打中心の起用。まだ本来の力を発揮できていないのかもしれない。

3回の攻撃、渡邉諒がチャンスを広げるヒットを放った。エスコンフィールド北海道で古巣相手に打ったヒット以来だ。これがきっかけでタイガースに追加点が入った。
打者というのは不思議で、そこまでの成績が平凡でもヒット1本で別人のように生まれ変わる時がある。
5回に迎えた渡邉諒の第3打席。相手先発・松葉貴大が投じた高めの直球を打ち砕いた。
打球がぐんぐん伸びて、バックスクリーンの横に飛び込んだ。右の拳を小さく握りながらベースを蹴った。タイガースに移籍してから初めて甲子園で打ったホームラン。パリーグ好きの周りの人から聞いていた渡邉諒の「らしさ」。そのらしさが、やっと見れた。

ハマスタで後ろに座っていたお兄さんがスコアボードをみながらボソッと言った言葉が忘れられない。
「あの渡邉が2割打てないのか……。でもこれで終わる人じゃないよな」

こんな成績でシーズンを終える選手ではないって、僕もそう思ってる。
あの日熱弁していたお兄さん、テレビで見てくれたかな。



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