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佐藤輝明から逃げるな【7/12 対ベイスターズ戦○】

岡田彰布監督に伝えたいことがある。
佐藤輝明から逃げるな。

今の成績はあなたが期待していたものからほど遠いかもしれない。もっと打ってくれよと嘆いているかもしれない。

それでも、逃げるな。佐藤輝明から逃げるな。
タイガースをペナントレース優勝に導いたうえで佐藤輝をチームの中心選手に育て、次の世代に引き渡す。
それが今のタイガースの監督に課せられた使命だと、僕は思うのだ。


決してこの日の途中交代だけで判断して言っている訳じゃない。これまでの佐藤輝への接し方や報道陣へ発したコメントを読んだ上でこう思っている。
何というか、まるで自分は佐藤輝のことについて自分は一切責任を持ちません、というような姿勢が見えて透けるのだ。

昨年の秋季キャンプ、岡田監督は佐藤輝に打撃指導をした上でフォームの改造に着手した。僕はこのフォーム改造を、岡田監督の「佐藤輝のことも自分が面倒を見る」というメッセージとして受け取った。監督として色んな選手を見てきたからこそ思う部分があったのだろうし、佐藤輝を何とかしたいからこそのアドバイスなのだろうと解釈した。

だがその後、佐藤輝のフォームや打撃技術のことについて、岡田監督から語られることはなくなってしまった。新しいフォームが佐藤輝にとってしっくりこないものだったのかもしれない。けれども、その後佐藤輝が思うような成績が出なくても、彼のバッティングを何とかしようとしたみたいな記事は出てこなかった。

もう1つ気になることがある。岡田監督と佐藤輝のコミュニケーションだ。岡田監督は選手と直接会話をしないらしい。報道陣相手に話をして、そのコメントが紙面に載る。それを選手が読むことで、選手が監督の意向を知る。これが岡田監督流らしい。どこまで本当なのか定かではないけれど、中野拓夢は紙面でコンバートのことを知ったらしいし、あえて監督と直接的な対話を希望した青柳晃洋の報道を読む限り、これは本当らしい。

どうして直接対話をしないのだろう。なぜあれほど佐藤輝が悩み苦しんでいるのに、その声を聞こうとしないのだろう。いま佐藤輝がどんな思いでプレーしているのか、ちゃんと分かっているのだろうか。
今の佐藤輝は誰かの助けを必要としている。それは誰の目から見ても明らかなのに、それでも岡田監督は自分のスタイルを貫くのだろうか。

これは断言できる。佐藤輝は特別な選手だ。ものすごい才能を持った将来のある選手だ。あれだけの体格と飛距離、いったいどれだけのチームメイトが彼の才能をうらやんだことだろう。新人から2年連続20本塁打は田淵幸一までさかのぼる記録だ。しかも佐藤輝は左打者だ。浜風が吹く甲子園球場は左打者にとって本塁打の出にくい球場。ここ本拠地にして2年続けて20本を打っている。

そのうえ、佐藤輝はまだ発展途上の選手だ。まだまだ伸び代があると思っている。こんな選手、ほかのチームを見渡してもそうそういるわけがない。
彼に無限の可能性を感じているからスカウトは佐藤輝のことを追いかけた。ドラフト会議の日、1番最初に佐藤輝の名前を呼んだ。タイガースに来てほしいという思いを込めて矢野さんはくじを引いた。
きっと、その期待が重圧になっていたこともあったと思う。それでも佐藤輝はみんなの期待に応えてきた。素材型で時間がかかるという前評判を覆して、2年間で44本のホームランを打ってきた。何度もタイガースのピンチを救ってくれた。

何も過保護に扱ってくれと言っているわけではない。ただ選手があれだけ打席で悩んでいるのに、どうしてもっと戸惑わせるようなことをするんだ。どうして余計に迷わせるようなコミュニケーションをするんだよ。

たとえ佐藤輝がどれだけ打てなくても、僕たちファンは君が野球をしている姿が見たい。だから僕らは野球場に足を運ぶ。グラウンドにいる佐藤輝を見て「でっかいなあ」って言いたいし、フルスイングを見て「すごいなあ」って言いたい。
そして、悩んでいる姿じゃなくて自信満々にプレーしている姿が見れたら、もっと嬉しい。君らしく派手に躍動しているところが見たい。もちろん、それを続けるのが簡単じゃないことも分かっている。でも君は特別な選手なんだ。
君のホームランでいったいどれだけのお客さんが元気になったか。君がプレーする姿を見て、どれだけのお客さんが嫌なことやつらいことを忘れられたか。明日また頑張ろうって気持ちになれたか。

僕は逃げない。
たとえ君がこれからどれだけ野次られて、心ない言葉をかけられたとしても逃げない。じっと耐えてみせる。応援するのをやめない。いらないと言われたとしても声援を送る。
神宮球場で君のプロ1号ホームランをこの目で見たとき、僕はそう決めたんだ。

負けるな佐藤輝明。
この後も想像できないような困難が待ち受けていたとしても、全力で応援する。君が逃げずに立ち向かかおうとするなら、僕も逃げない。

森下翔太が犠牲フライでサヨナラ勝ちを決めたとき、佐藤輝はヒーローになった森下に向かって全速力で駆け寄った。歓喜のシャワーでびしょびしょになった森下の肩を数回優しく叩いた。次はあの歓喜の輪の中心に佐藤輝がいてほしい。
その日が必ず来るって、僕は信じているから。

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