復帰した髙橋遥人を現地で見て思ったこと【8/23 対カープ戦◯】
トミー・ジョン手術と肩・手首の手術を経て実戦の舞台に戻ってきた髙橋遥人。復帰戦は京セラドーム大阪で行われた8月11日の試合だったけれど、マツダスタジアムで投げている姿を自分の目で見て、「ああ本当に帰ってきてくれた」と改めて思えた。
1回の表が終わって、髙橋がマウンドに上がる。1球1球大事そうに投球練習を始める。この姿を見られただけで「今日来て良かった」と思えた。
カープ打線はまさに選手全員が束になってかかってくる。際どいボールにも喰らいついてファウルにして、ほんの少し甘くなったボールをヒットゾーンに運ぶ。カープ打線との根比べに負けたバッテリーが失点を喫する光景を、今年何度も見た。
バットに当てさせなければいい。
それは確かにそうなのだけれど、そうさせてくれないからみんな苦労している。
……髙橋遥人を除いて。
あんなに当てるのが上手いカープ打線が、髙橋の球に翻弄されている。
右打者にとっては懐を抉られるように曲がるスライダーと、左打者から見て逃げていくように変化するカットボール。ほかにも球種はあるけれど、髙橋の投球を支えている変化球は主にこの2つだ。球の軌道がはっきりと分かる座席ではなかったけれど、カープの打者が一見むちゃくちゃなコースを空振りしているのは見えた。並の投手ならしっかりボールを見定められたのかもしれない。でも、髙橋はそれをさせなかった。
そして、その変化球を支えるストレート。今のプロ野球では決して速い部類には入らないけれど、それでも前に飛ばない。
復帰戦より良いボールがいっているのは明らかだった。
最初の試合はマウンドにいることが嬉しすぎて、つい考えるのを忘れていた。
このピッチャーはとんでもない素質を持っているんだってことを。
今から3年前。当時のタイガースはスワローズと優勝争いをしていた。熾烈な順位争いが繰り広げられる中、髙橋がケガから復帰した。故障の遅れを取り戻すかのように髙橋は好投を連発した。三振を13個も奪って完投した試合もあった。
でも、あの年は優勝に手が届かなかった。ほんの少しのところで届かなかった。
昨年、タイガースは18年ぶりのリーグ優勝を果たした。2年前のリベンジを果たしたのだという見方もできる。
けれど、手術明けのリハビリに励んでいた髙橋は登板なし。歓喜の瞬間の中に髙橋の姿はなかった。優勝できたけれど、髙橋のおかげで勝てた試合は1つもなかった。
そのことが、ずっと心の奥に引っかかっていた。
チームが厳しい状況に立たされていることくらい分かっている。
だけど僕は、髙橋遥人と一緒に優勝したい。
「髙橋がいたから勝てたんだ」って言いたい。
まだ、諦めたくない。
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