岩貞祐太が「背負っていく」と言ってくれて嬉しかった【7/21 試合なし】
希望に満ちた選手だった。
誰からも愛された選手だった。
もっと応援したかった。
全てが過去形になってしまうのが悔しくて悔しくて、やるせない。
タイガースでプレーした横田慎太郎が亡くなった。現役をやめたときには寛解していた脳腫瘍が再発したのだという。
今でも信じられないというか、受け入れたくない自分がいる。新聞やテレビで亡くなったことを報じているのを目にしたとき、思わず目を背けてしまった。「プライベートと仕事はしっかり切り替えて頑張ろう」って週初めの朝礼で話してくれた会社の上司、ごめんなさい。今週は仕事が全然手につかなった。
横田が亡くなったのは7月18日の早朝。その日の夜にニュースが報じられた。現役の時はコーチや2軍監督として一緒だった平田勝男ヘッドコーチ、横田をプロの世界に導いた田中秀太スカウト、そして矢野輝大前監督。次々に公表されるコメントを読めば読むほど、ひたむきで一生懸命で、周りを明るく照らすような人だったのだと実感した。
だからこそ心配になった。
一緒にプレーかつての仲間の訃報。しかもシーズン中、優勝争いの真っ只中に。選手たちが動揺しないはずがない。横田のことは忘れないでいてほしいけど、その悲しみが重荷になってしまうんじゃないか。
当人らが言わなくても、メディアや周りの人は「横田の分も頑張れ」って思うに違いない。それが選手たちにとって過度なプレッシャーにならないだろうか。
こう語ったのはリリーフの岩貞祐太だ。
https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2023/07/19/kiji/20230719s00001173339000c.html
勝手に背負う。
「自分勝手」のようにマイナスなイメージを持たれがちな言葉をあえて使っているように思えた。旅立った横田が変に責任を感じないように。言葉の選び方に岩貞の優しさを感じる。
岩貞と横田。年齢は違うが2人は同じ2013年のドラフト会議で指名された同期だ。岩貞がドラフト1位、横田がドラフト2位。2013年のドラフトは今のタイガースを作り上げるきっかけになったと僕は思う。梅野隆太郎と岩崎優もこの年に指名された。移籍してしまったが陽川尚将もこの年だ。年長者として今のタイガースを引っ張る選手たちを指名した中で、唯一高校生で指名されたのが横田だった。
新人選手は基本的に全員が寮で生活する。寝食を共にするうちに横田は弟のような存在になったのかもしれない。
ドラフト同期の岩貞が「(横田の分も)背負っていく」と言ってくれた。
正直嬉しかった。
先発してたころ、思うように投げられないときに分かりやすく不安そうな顔をしていた岩貞
おなじサウスポーの能見篤史を師と仰ぎ、ちょっとかわいらしい後輩キャラのイメージがあった岩貞。
リリーフに専念して3シーズン目になった今は同い年の岩崎と一緒にブルペンのまとめ役を担っている。
強くなったなあ。
頼もしくなったなあ。
投げる球も強くなったし、ちょっとのことでは動揺しなくなった。
周りのことを気にかけられるようになった。
仲間の思いを背負って戦うって言ってくれた。
強くて優しい岩貞。岩貞なら必ずその思いを力に変えられる。
だから横田、見ていてくれ。