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甲子園にはこの人がいなくちゃ【6/22 対ベイスターズ戦●】

甲子園球場がホームランに湧いた。タイガースの選手が甲子園でホームランを打ったのは5月25日にジャイアンツ戦で渡邉諒が打って以来だ。久しぶりにホームランが見られたことの喜びもあったかもしれないけど、きっと理由は別のところにある。

大山悠輔が、帰ってきた。
2軍での調整を終えた大山が、復帰2試合目でホームランを放った。
大山は久しぶりの歓声を噛みしめるようにゆっくりとダイヤモンドを1周した。

2軍に行く前の大山の状態を、今さら書き残すつもりはない。もう終わったことだ。長いプロ野球人生、そういうときもあるだろう。

復帰直前の数試合、大山は2軍戦に出場した。しかし、お世辞にも良い成績とは言えなかった。12打数2安打の打率.167。ヒット2本はいずれも単打だ。昇格は時期尚早なのではという声もあった。

大山は復帰初戦でヒットを2本放った。そして今日、ホームランとタイムリーヒットで2安打2打点。2試合連続のマルチヒットだ。大山ほどのレベルの打者になると、きっと2軍の成績なんて関係ないのだろう。

打席の中でも「らしさ」が戻ってきたように感じた。

ホームランを打った第1打席。2球で追い込まれてから、3球目の際どいアウトコースのストレートを見逃した。判定はボール。追い込まれていて不利なはずなのに、どこか落ち着いていた。
そしてベイスターズ・東克樹が投じた4球目のチェンジアップ。タイミングを外しにかかったこのボールを、大山は呼び込んで打った。
高々と上がった打球の行方を見届け、ゆっくりと1塁方向へ走り出していった。

打者不利な状況でも自分のペースを変えず、甘いコースに来たボールを一発で仕留めた。
僕らの知ってる大山だ。


大山は2軍に行ってからしばらくは試合に出ていなかったこともあって、どんな感じでこの期間を過ごしていたのか詳しくは分からない。僕らファンが見られる瞬間なんて、全体のほんの一部だ。

けれども、きっと良い時間を過ごしてきたのだろう。
滞空時間の長い放物線を見て、すぐに分かった。

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