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キャッチャー坂本誠志郎の長い1週間【8/20 対ベイスターズ戦○】

タイガースはこの1週間の6連戦を3勝3敗で終えた。全てビジターの屋外球場だったことや、途中不運な雨天中断を挟んだ試合があったことを考えれば上出来だ。

そして、キャッチャーの坂本誠志郎にとっては長い長い1週間だったに違いない。なぜなら、坂本が6試合続けてスタメンマスクを被ったのは今季初めてだったからだ。骨折離脱した梅野隆太郎を欠く中で挑んだこの1週間は、残りのペナントレースの戦い方を大きく影響する期間だったはず。結果は3勝3敗の五分。試合によっては終盤で長坂拳弥に交代することもあったけど、ほとんどの守りで坂本がマスクを被った。そして最後は伊藤将司の完封勝利をアシストした。

これならやっていけそう― そう思ったタイガースファンも多いはずだ。


出番は少ないけれど、坂本はものすごく良いキャッチャーだと思う。例えるなら、まさにキャッチャーになるべきしてなった選手だ。基本的な守備力はもちろん、キャッチング技術をダルビッシュ有に絶賛されたのは有名な話である。それもその通りなのだが、中継映像や自分の目で見て感じたのは、随所に現れる坂本の「気配り力」である。
ある試合でファウルチップが球審に直撃してよろめいたとき、坂本は真っ先に球審の体を支えようとした。ドラゴンズの龍空が自打球を当てて倒れ込んだときも、やっぱり坂本は心配歩み寄っていた。ほかにも……

・打撃不振が続いていたS.ノイジーに「口角あげていこう!」とアドバイス
・侍ジャパンとの強化試合で後輩の井上広大を連れて高校の先輩である山田哲人へあいさつ
・19日の試合後取材で「送りバントを決めた榮枝(裕貴)がヒーローじゃないですか」と後輩の活躍をたたえる
・結果が付いてこなかったアスレチックス時代の藤浪晋太郎を心配してを記者と会話する
・ピッチャーに意見を伝えるときはまず良かったところを話して褒める
・作戦や配球を考えるときはピッチャーに「そっちはどうしたいと思ってる?」と尋ねる


などなど、とにかく気配り上手なエピソードに事欠かない。きっと視野が広くて、いろいろなところに気づける選手なのだと思う。大阪のおばちゃんが「結婚するなら誠志郎くんみたな人にしい!」と言っていても不思議ではない。

話を試合のことに戻す。
先発の伊藤将はベイスターズ打線をすいすいと抑えていく。対戦相手のT.バウアーがパッション全開で抑えていく一方で、伊藤将は冷静に淡々とスコアボードに0を重ねていく。
だが決して一本調子にはならない。キャッチャー坂本のジェスチャーにうなずきながら、低めにボールを集めていった。低めへの制球はピンチになっても変わらない。この日唯一のピンチも併殺で軽々切り抜けてみせた。

2点の援護をもらって、伊藤将は最終回のマウンドに上がった。2アウトから牧秀悟にヒットを許すと、ベイスターズのN.ソトの打球は右中間へ。だが打球はフェンスまであと少しのところで勢いを失い、森下翔太のグラブに収まった。長い長い1週間を完封勝利という最高の形で締めくくった。自らリードして完封をアシストできた喜びやリリーフを休めさせられた充実感が伊藤将とのハグに表れていた。

夏の暑さはまだまだ厳しいけれど、ペナントレースも終盤にさしかかりつつある。梅野抜きで戦う残り試合は厳しい道のりになるだろうけど、タイガースには坂本がいる。梅野と割り勘していた捕手の責任感を1人で背負うことになったけれど「ここまで来て、疲れとか言ってられないですよ」のコメントが頼もしい。近本光司がいない期間を乗り切れたタイガースなら、きっと今回のピンチもチーム全体でカバーしながらやってくれるはずだ。

1週間お疲れ様。また次もよろしく頼むよ。

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