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ファンサービスする島田海吏を見て「プロ野球選手かっこいい」と改めて思った話【8/24 対カープ戦●】

MAZDA Zoom-Zoomスタジアム広島には砂かぶり席と呼ばれる座席がある。もとは大相撲の座席の愛称として使われていた名称だが、確かマツダスタジアムに設けられたときは結構話題になったと記憶している。マツダスタジアムの砂かぶり席はグラウンドより1段低い場所に設けられていて、通常の座席では味わえないような角度で試合が見られるのが特徴だ。
 
マツダスタジアムの砂かぶり席には前方に低い金網が設置されているだけなので、打ち上がった打球が飛んでくることもある。いわゆるフィールドシートと同じようなつくりだ。
 
話題は変わるが、テレビ中継ではほぼ映らないイニング間の準備について解説したい。
直前の攻撃が終わるとグラブを持った選手たちが各守備位置に就く。ピッチャーが投球練習をする間、野手は別の野手とキャッチボールをして体を動かす。何度も現地に行く人にとってはおなじみかもしれないが、ビジター球場の場合はライトとセンターがキャッチボールをして、レフトは控えの選手が交代でキャッチボールの相手を務める。キャッチボールが終わると、控えの選手はボールを受け取ってベンチに戻る。

ビジター球場でイニング間でキャッチボールをする相手の図式

5回裏の守りが始まる前、ベンチスタートの島田海吏がグラウンドに出てきた。このイニングのキャッチボールは島田が担当するようだ。レフトの前川右京とのキャッチボールを終えてグラウンドに戻ろうとした際、3塁側の砂かぶり席に小さな子どものタイガースファンがいることに気づいた。グラブで小さく手を振ると、島田が砂かぶり席の前まで近づいてきた。
そして今まさにキャッチボールに使ったボールを、その子どもに渡そうとした。
 
が、島田の動きが一瞬固まる。よく見ると、タイガースファンの子どもは2人いた。ちょうど島田の両隣にいる2人の子どもが自分のグラブを持って待ち構えている。子どもたちは自分がボールをもらえるものと信じて島田をじっと見ている。ボールが1つしかないこの状況に焦っているのが遠くの客席からでも分かったけど、そのままボールを適当に放って立ち去らないところに、彼の優しさを感じた。
 
結局どうしたのかというと、島田は2人の子ども両方にボールをプレゼントした。1人には自分が持っていたボールを渡し、もう1人の子にはキャッチボールをしていた別の選手からボールを回してもらうよう頼んで、そのボールを渡した。子どもがボールをこぼしてしまわないように、上からそっと落とすように渡していたのも印象深かった。

いつからか、タイガースの選手たちに「かっこいいと思われる対象でいてほしいな」と思うようになった。強いチームでいてほしい、とはまた違う。勝ち負けで判断できる強さと違って、かっこよさは曖昧だ。100人に聞いたら100通りのかっこよさが返ってくるかもしれない。
僕のなかにはかっこよさの定義がいくつかあるのだけれど、その1つが「子どもたちのヒーローになれているかどうか」だ。尊敬、憧れ。そういった対象になれている選手を、僕はすごくかっこいいと思う。
 
野球場でファウルボールが飛んできたら大人だって興奮する。だからきっと、島田からボールを受け取った子どもたちは相当嬉しかったはず。そういう思い出を作ってくれるタイガースの選手が僕は好きだ。そして、島田のような選手がいるチームのファンで良かったと、なんだか誇らしい気持ちになるのだ。

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