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守護神の留守は任せた【5//17 対ドラゴンズ戦○】

2軍戦で湯浅京己が実戦復帰した。バンテリンドームナゴヤからほど近いナゴヤ球場で行われたこともあって、岡田彰布監督はじめ1軍の首脳陣も駆けつけたらしい。チームとしてはどれくらいの状態で、おおよそどれくらいで戻って来られそうなのか、当然気になるところだ。とはいえ、今日は復帰試合で投げられただけで100点。きっとベストに近い状態に戻るのは、もう少し先になるだろう。

湯浅が担っていた最終回は岩崎優が投げることになった。まさに代役のクローザー。辞書で「代役」を引いてみると、「故障の起こった本人の代わりに出る役の人。またその役をすること」と書かれている。あまりポジティブな使われ方はしない言葉だけれど、僕は岩崎のことをあえて「代役のクローザー」と呼びたい。
それはなぜか。チームから任命されてなったクローザーより、やむを得ず投げることになったクローザーの方が遥かに難しいと思うからだ。実力者が揃うタイガースのブルペンのメンバーでも、こんな難しい起用法に応えてくれるのは岩崎しかいない。

思えば、岩崎は去年も代役のクローザーだった。明らかに調整が間に合わなかったK.ケラーの度重なるセーブ失敗で、セットアッパーを務めていた岩崎が最終回にまわった。岩崎が上手くはまってくれたおかげで、チームは再浮上のチャンスを掴んだ。もしあのとき、代わりの岩崎まで打たれていたら……。チームは本当にどうしようもない状況に陥っていたかもしれない。すんでのところで岩崎がチームを守ってくれた。
クローザーを別の人にしないといけない。じゃあその前を投げてるピッチャーにしよう。残念ながらそんな簡単に上手くいく話ではない。準備の仕方も違う。マウンドに上がるまでのリズムも変わるはず。マウンド上でのプレッシャーだって、比べ物にならない。順調にステップを踏んだ結果のクローザー抜擢というわけじゃない、心持ちだって違うはず。それでも岩崎はやりきった。57試合に投げて29セーブを挙げた。

湯浅の故障離脱で、奇しくも岩崎は2年連続で代役のクローザーをやることになった。今日も試合も2点差で最終回に登板した。12日以来のマウンド。少し間隔が空いた。
先頭の村松開人に四球を出した。ほんの少し、ボールが高い。考えないようにしているけど、嫌な予感がした。続く打者は木下拓哉。チェンジアップ2球で追い込み、最後は高めのストレートで空振り三振を奪った。チェンジアップが効いている。ストレートも村松のときと比べて、良いところへ行くようになった。探りながらではあるが、今日の試合で使える引き出しが見つかった。打者を抑えるための引き出しがいくつもあって、マウンド上で修正しながらそれを見つけられるのが岩崎だ。
続く代打・加藤翔平の空振り三振に斬った。完全に戻った。嫌な予感は、彼方へ消え去った。Z.アルモンテも空振り三振。三者三振で試合を締めた。湯浅が離脱してから4度目のセーブシチュエーション。岩崎は今日もチームの勝利を守った。6連勝!

「湯浅がいなくて負けたと言われるのが一番嫌。そこはもう意地ですよね」

スポーツ紙の取材で岩崎はこう話したという。僕も同じ気持ちだ。僕だって「最終回は湯浅がいないからチャンスあるぞ」ってライバルチームから思われたくない。湯浅が復帰を焦らないように、今いるピッチャー陣でブルペンを守る。万全の状態で戻ってきてくれるまで、みんなが継投のバトンをつなぐ。みんなの思いを背負って、今は岩崎が最終回のマウンドに立つ。

今は湯浅がいなくても岩崎がいる。岩崎が守護神の留守を守ってくれている。最終回、点を取れるもんなら取ってみろ。


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