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生で見た門別啓人はスゴかった【9/30 対カープ戦●】

何気なく取ったチケットだったのに、ものすごいことになってしまった。

予告先発:門別啓人

優勝が決まった後の試合とはいえ、昨年のドラフトで入団した高卒1年目の投手が先発する。しかも、その日の試合のチケットを持っている。彼の能力からして今後素晴らしい投手になることは間違いないが、プロ初先発は後にも先にも1回しかない。1軍の舞台で第一歩を踏み出す瞬間を目の当たりにできる。こんなのワクワクしないはずがない。

北海道出身の門別啓人は東海大札幌高からドラフト2位指名されたサウスポーだ。甲子園出場とは縁がなかったが、Max150kmをマークするなど、その能力の高さは入団する前から評価されていた。昨年のドラフト前、アマチュア野球好きの間ではその年の高校生左腕No1と称する声もあった。

門別が投げる試合の映像を見て感じたのは、打者へ向かっていけるメンタルと技術の高さ。打者のインコースを突けている。自分より年上ばかりの世界で、相手の懐を攻めていける。しかもストレートだけじゃない。ツーシームやスライダーなど、変化球も駆使しながらインコースを攻められる。先日ウエスタンリーグで優勝したホークス相手に登板したときも、インコースを攻めながらスコアボードに0を刻んだ。

さて1軍初登板の門別である。
最初に言ってしまうと、ものすごかった。5回無失点の結果も当然ながら、2軍でやってきたことが1軍で同じようにできていたのがすごかった。僕の座った座席はコースが内か外かはっきりとは分かりづらかったけれど、カープのバッターがのけぞる反応を見せていたから、しっかりインコースを突けていたはずだ。

4回の守り、1アウト1塁でキャッチャーの長坂拳弥がボールを後ろに逸らしてしまった(記録はパスボール)。年下の投手を引っ張るキャッチャーとしてはかなり痛いミスだ。これにも門別は動じなかった。ヒットを打たれてピンチが拡大したが、続く末包昇大とM.デビットソンから空振り三振を奪った。1番ホッとしたのはキャッチャーの長坂だったに違いない。粘りの投球で味方のミスさえも救ってしまった。末包とデビットソンから奪った三振はいずれもフォーク。その前にバッターのインコースをストレートで攻めたことが効いた。ゾーンを広く使った配球だった。

さらに、生で門別を見て気づいたことがある。どれだけピンチを背負っても表情が固くならないのだ。いや、内心は心臓バクバクだったのかもしれないが、少なくともその表情から詳しい心境はうかがえなかった。自分の心境を相手に読ませない、ピッチャーとしてとても大事な武器だ。

門別のプロ初先発は5回を投げて無失点。カープの先発・九里亜蓮も素晴らしい内容で、ふたりが投げ合っている間は試合が動かなかった。結果だけ見れば粘投する門別を援護できなかった、という形になるのかもしれない。
でも、この日の九里は確かにすごかった。門別が投げている間はパーフェクトピッチ。5回時点で9個の三振を奪っていた。もし序盤に援護点を与えてしまったら、そのまま逃げ切られてしまうように感じた。
そんな投手を相手に門別は「負けなかった」のだ。すごく立派なことだ。

ぶっちゃけ、試合の途中から勝敗なんてどうでもよかった。
門別啓人というポテンシャルの塊をこの目で見られたこと、僕は一生忘れないだろう。


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