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森下翔太のコメントを読んだら、少し気が紛れてきた【5/24 対ジャイアンツ戦●】

最後の打者が空振り三振に倒れて、ジャイアンツの戸郷翔征が両手を掲げた。わずか1点のリードを1人で守り切っただけじゃない。史上89人目のノーヒットノーランのおまけつきだ。
タイガースが対戦相手にノーヒットノーランを喫するのは、ドラゴンズの大野雄大にやられて以来だ。打線の状態はなかなか上向いてこないが、それが良くない形で出てしまった。

粘投した投手陣に報いれなかったこんな試合では、野手陣のコメントも苦々しい。記事の文面では表情はうかがえないが、おそらく厳しい顔で絞り出すように取材に応じたのだろう。

一方、森下翔太は試合後の取材でこう語ったという。

「次、対戦の機会があれば打ちたい。(でも)たかが1敗なので」

2024年5月24日 日刊スポーツ

おおう、なかなかハッキリ言うじゃないのさ。

頑張って会社で働いて、あるいは学校で授業受けてやっとたどり着いた金曜日。1週間の疲労感と開放感を胸に甲子園球場に来たファンからしたら、そりゃガッカリもする。「せっかく来たのに」って気にならないほうが不自然だろう。気持ちはよく分かる。
でも、それはあくまで僕らタイガースファンの都合だ。

選手は選手で背負っているものがある。明日以降の試合でベストを尽くすという使命だ。今日の試合が終わったら、次の試合。次の試合が終わったら、またその次の試合。野球だけ見ているとつい忘れがちになるけれど、1週間のうち6日間も試合があるプロスポーツはプロ野球くらいだ。

これだけ毎日のように試合があって、もし試合で起きたことを1つ1つ引きずっていたら果たしてどうなるだろう。
後悔や不安をめいっぱい背負ってベストなパフォーマンスを発揮できるほど、プロ野球の世界はきっと甘くない。

こうして僕が試合noteを書いている今も、次の試合開始までの時間は刻一刻と近づいて、選手は準備を始めている。140試合近く戦うレギュラー選手にとって、すぐに前を向けるのは立派な長所だ。

森下が発した「たかが1敗」に、投げやりな意味は含まれていないと思う。普段の試合で感情をあらわにする森下が、悔しがってないはずがない。けれど悔しがるのと引きずるのは違う。「今日打てなくてやきもきする」ことじゃなくて、森下は「明日打てるために前を向く」ことを選んだ。
なんというか、去年より頼もしくなっている気がする。
もっと強くなったんだなあ。

だったら、僕ができることも1つしかない。森下がまた次の試合で打てるように応援する。

やり返してくれるって信じているから。

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