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派手なプレーを形作った地道な練習【7/16 対ドラゴンズ戦●】

今年初めて沖縄の春季キャンプを見学した。沖縄は遠いし、猛虎キャンプレポートで中継は見られるし、何かと理由をつけて敬遠していたが今は行って良かったと思っている。選手の距離の近さもさることながら、普段の試合では見られない練習を見学することができた。

僕がキャンプを見に行った日は紅白戦が行われた。試合が終わって一段落した後、ホテルに戻ろうと道を歩いていると、サブグラウンドに向かって歩くファンの人がいることに気づいた。いったい何があるのだろう。気になってついて行ってみると、サブグラウンドに選手たちがいた。木浪聖也と中野拓夢。それと馬場敏史、藤本敦士の両守備コーチ。馬場コーチが2人に向けて少し緩めの打球をノックする。
中野と木浪はノックの打球をキャッチして、グラブをはめていて2塁ベース付近にいる球団スタッフにボールを投げる。ノックする、捕る、送球する。これの繰り返し。

じ、地味だ……。
この一連の練習を延々と繰り返している。

ゴロが来てトスをする練習、捕球してもう片方の相手にボールを送る練習。流れるような併殺プレーは一連の流れじゃなくて、1つずつ動作を区切ってそこに特化した練習をする。それを反復する。
同じような動きを淡々と、そして確実にこなせるようにするための練習なのだろうか。ちょっと送球が逸れたり動作が遅れたりしたときは、自分の体の動きを1つずつ確かめる。この作業も地味だ。プレー自体はさほど難しくないはずなのに、グラウンドにもギャラリーにもどこか緊張感が漂っている。気づけば2人の打球処理を食い入るように見てしまった。

今シーズンは二遊間の守備でピッチャーを助ける場面が印象的だ。この日も良いプレーが出た。8回表の守り。0アウト1塁で打球はセンター方向へ。やや二塁寄りに飛んだ打球をセカンド・中野がバックハンドでキャッチ。追いついただけでも大ファインプレーだ。捕った!と思ったその時にはセカンドベースに向かっていた木浪にボールをトスしていた。
タイミングを合わせてボールを受け取った木浪はベースを踏んで素早く1塁へ送る。伸び上がるような鋭い送球が大山悠輔が待ち構えるミットに届いた。
大歓声が響く中、1塁審判の右手が上がった。歓声には驚きと興奮が入り交じっていた。

https://twitter.com/DAZN_JPN/status/1680539380052643841?s=20


僕たちはグラウンドで行われる派手なプレーに心を動かされ、胸を熱くさせる。でもそのプレーは日々の地道な鍛錬の繰り返しで培われている。うまく説明できないけれど、このド派手な併殺プレーとキャンプで見た地道な練習のコントラストがなんだか美しく感じられた。

試合の勝敗とは関係なく、球場で見られたら純粋に「良かったなあ」って思えるプレーがある。ものすごい勢いで飛んでいく大山悠輔のホームラン。近本光司のスピード感溢れる走塁。こういったプレーに中野と木浪の守備が含まれる日が来ることを、僕は楽しみにしている。


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