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フォーク神様|#毎週ショートショートnote|408字

「さぁ、3人の中から好きな神様を選びな」

死んだ私に対して、目の前の天使は荒い口調で言い放った。

目の前には3人の神様。スプーン、フォーク、ナイフ。

天使の説明によれば、神様ごとに性格が異なるので、慎重に選んだほうがいいという話だった。

私は食事の時を思い出しながら長考した。

考えあぐねた結果、私はフォークの神様を選択した。フォークが一番万能な食器だろうという至極安直な理由からだ。

「あぁ、私を選んでしまったか……」

フォークの神様は悲しそうに言い放って続けた。

「私は罪人である君を救う・・ことは出来ない……それはスプーンの役目だ。断罪・・するナイフよりはマシだったかもしれないが」

「では、私はどうなるのです?」

「フォークである私が出来るのは、行き先を指す・・ことだけだ。あっちが天国だ」

なんだ、正解だったじゃないか。そうほくそ笑んで私は歩き出した。

「……まぁ道中で急に落ちるけどな」

その声が届く頃には、私は地獄に向けて落下し始めていた。



あとがき

救いすくいの無い話ってわけですね。

Special Thanks!

たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させて頂きました。



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