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開発施策、「ゆとり」を取り入れた背景と施策に込めた想い

メダップでCTOをしている馬場です。
メダップの開発組織では、スクラム開発を採用しており、1週間単位でスプリントを実施しています。

スピード感を持った開発, 機動力のある開発をモットーに日々の開発に取り組んでいますが、こうしたスクラム開発とは別軸で技術的な施策にも取り組んでいます。

今回は、今年(2021年)の10月より実施している「ゆとり」という取り組みについて紹介します。

「ゆとり」とは?

メダップのスプリントは、水曜日を起点としています。
水曜日の午後から前回スプリントの振り返り、そして今スプリントの計画づくり(目標設定)を行い、木 ~ 火で開発を進めています。

もともとは、水曜日の午前中はスプリントの範囲にしており、開発を進めていましたが、現在は、毎週水曜日の稼働開始 ~ スプリント振り返りまでの時間を「ゆとり」タイムと定めています。

「ゆとり」では、スプリントで掲げた目標とは関連のない開発や関心の強い技術に関する探索(調査)等に投資しようという取り組みです。

(よく面接時に受けるQ&Aは、最後にまとめています〜!)

「ゆとり」導入の背景にある課題

「ゆとり」は、下記2つの課題意識から誕生した施策です。

- スピード感あるリリースを重視すると、エンジニア発信のカイゼンが後手に回る
- 開発組織として一定の探索ができていないと非連続的な技術アイデアが生まれない

スピード感あるリリースを重視すると、エンジニア発信のカイゼンが後手に回る

メダップが運営しているforoCRMは、プロダクトとしても非常に大きくなっており、開発を進める中で改善したいなと感じる既存コード・設計に出くわすことも多くあります。そうしたときに、スプリント目標の達成やリードタイムを考えるとどうしてもいま注力している機能開発にフォーカスする必要があり、エンジニア発信でのカイゼンが後手になってしまうことが往々にして生じます。

こうしたエンジニアが抱きやすいモヤりを解消できる余白を先に作っておくことで、木 ~ 火までのスクラム開発は、スプリントで掲げている目標によりフォーカスして進めることができると考えています。

開発組織として一定の探索ができていないと非連続的な技術アイデアが生まれない

既存の技術にフォーカスしてばかりでは、非連続的な成長を生み出すようなアイデアが思い浮かぶことも難しくなります。日頃の開発から一歩引いて、利用中のライブラリについて深く調べるにいくことで業務内での活用方法にカイゼンを回すこともできますし、今後の開発を見据えてまだ採用していない技術について手触り感を確かめることで、技術選択の引き出しを増やすことができます。

こうした探索活動は、開発組織として非常に重要ですが、個人の趣味に任せてしまうとなかなか時間を確保することができません。そもそも開発組織として重要と考えていることを業務時間として確保していないのは矛盾しています。

「ゆとり」に込めた想い

上記の課題意識から、「ゆとり」を取り入れましたが、
あえてテーマに制限をかけ過ぎず、自由な取り組みができるようにしていることにも理由があります。

この先、メダップが掲げているVisionを実現していくためには、foroCRM以外にも複数のプロダクトを創出していくことが必要不可欠です。
今後そうしたマルチプロダクト戦略を実現できる開発組織を実現するためには、「Visionから問いを立てられるエンジニア」が組織の中に多くいる必要があります。

現状だと、CTOである私が経営/事業戦略に沿った形で開発(技術)戦略を全体にシェアしていますが、
この開発戦略を踏まえて、「いま、チームとして取り組むべき技術領域はなんだろうか?」「foroCRMが今後成長していくにあたって必要となるアーキテクチャはどういったものだろうか?」といった具合に、個々人が戦略に連動して問いを立てられるようになる必要があると考えています。

「ゆとり」は、いわば「こうした問いを立てる練習」にもなっていると思っています。「自ら取り組むべき領域を考え、実行に移すこと」簡単そうに聞こえますが、実現するのは非常に難しいです。自ら問いを立て、解決に向けて実行できる人材を多く育成していくために、こうした機会を組織に作ることは非常に重要だと考えています。

まとめ

今回は、「ゆとり」という開発施策について紹介しました。
こうした開発組織としての思想・文化に共感していただける方は、ぜひ一度お話しましょう〜!より詳しくメダップの開発組織についてシェアできればと思っています。(Twitter DM はこちら)

(Meetyもはじめました!)

(良ければ、採用ページもご覧ください!)

よくあるQ&A

Q. 取り組んだ内容は、シェアしていますか?

A. しています。Slack上にスレッドを立てて、取り組んだ内容やその感想/意見をシェアするようにしています。

Q. 正社員のみに適用していますか?

A. いいえ。雇用形態問わず、「ゆとり」タイムの稼働がある場合は取り組んでいただいています。あくまで「ゆとり」は組織としての成果につながるからこそ取り組んでいる施策です。また、メダップでは、雇用形態問わず組織としての成果にコミットしていただくことを前提に期待値を調整しています。

Q. これまでどんな取り組みがありましたか?

A. 人によって様々ですが、大きめのリファクタをやっていただいたり、今後採用していこうとしているライブラリを使ってみるなどが多いように感じます。また、普段業務では担当しない分野に積極的に取り組んでいくことが多いように感じています。
(ex: フロントエンド中心に活躍している方がバックエンドのパラダイムを学習しにいくといった動き)

Q. スプリントの成果が下がっていませんか?

A. いいえ。これはチームメンバーの頑張りも多分にありますが、現状だと開発組織としての生産性は下がっていません。メダップでは、開発組織の生産性可視化施策として、あらゆる数値を計測していますが、いずれの数値も下がっていませんでした。変化が起こったこととしては、より明確にスプリントに使える時間にメリハリが付いたため、木 ~ 火の開発強度が上がったように思います。

(開発組織の生産性可視化施策については、上記記事をご覧ください)