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37夜 教育環境云々よりももっと大切なことがあるような・・・

先日以来,頻繁に自民党の派閥関係のパーティでの裏金問題が報道されている.多くの国民が物価高や低賃金にあえぐ中で,相変わらずこういった問題が出てくるこの国の状況に,この国は間違いなく劣化しているのだと感じざるを得ない.どこぞの大学の麻薬問題への記者会見や先の裏金問題の記者会見を見ても,回答者は「精査して適切に対応します.」と簡単に答えているが,何をどうするのかは全く伝わってこないという,言葉の軽さばかりが目立つ始末で,いったい責任ある立場とは何なのだろうかを考え込んでしまう.こんな状況を子供たちはどうとらえているのだろうか.
 2022年3月25日付ニューズウィーク日本版に掲載された「日本「賃金停滞」の根深い原因をはっきり示す4つのグラフ(加谷珪一)https://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2022/03/4-166_1.php」  では,過去20年間のアメリカ・ドイツ・スウェーデン・フランス・韓国・日本の6か国における①平均賃金比較②米・独・日の豪種別付加価値比較③日米の企業売上高推移④IT投資水準比較において,この国の明らかな後退が可視化されている.①では,日本だけがほぼ横ばいで5か国は1.2~1.4倍に上昇,②では,日本はほぼ全業種で付加価値(日本1との相対値)が低い状況であるのに対し,アメリカ農業部門での付加価値4やドイツ不動産部門での付加価値3など全業種で日本を上回った状態,③では,1980年以降40年間でアメリカが約7倍であるのに対し日本はほぼ横ばいに推移,④では,1995年以降各国とも3倍以上の投資拡大に対し,日本は投資が減少,といった有様である.多くの人が,この国の劣化を肌で感じているなかで,改めて数字の持つ意味は大きいと感じる.
 そのうえで,令和5年度の全国学力学習状況調査結果(質問紙調査)によれば,(https://www.nier.go.jp/23chousakekkahoukoku/ に 過去3年間の「将来の夢や目標を持っているか」との質問に対して,小学校6年生では約60%が「持っている」と答えたのに対して,中学校3年生では40%前後で推移しており,わずか3年間で20%あまりの児童生徒が,未来志向から脱落している状況が垣間見える.  
 さらに,日本財団が2022年に行った日本・アメリカ・イギリス・中国・韓国・インド6ヵ国の18歳前後男女各1000名に対する「第46回国や社会に対する意識」(https://www.nippon-foundation.or.jp/app/uploads/2022/03/new_pr_20220323_03.pdf)
調査では,自国の将来を「よくなる」と答えた割合が13.9%(日本)と6か国最低(最高は中国95.7%),自国経済競争力を「強くなる」または「非常に強くなる」と答えた割合が10.9%(他国は25%以上),自国科学技術力に関しては,同割合が45.5%(他国は65%以上)と,この国の若者の悲観的な見方が大勢を占めた.
 こういったこの国のおかれた客観的数値を念頭に,最初に述べた残念な報道の中身を考える限り,結果的に,子供の意欲を大人が奪い続けていることがよくわかる.たとえ今置かれている状況が悪くとも,将来への展望が垣間見えるようであれば,このような数値は出てこないはずだろう.いろいろな意味での「老害」がこの国を蝕んでいるような気がしてならない.「透明性」や「善悪」などの普遍的な価値観を今一度見直して,「希望」を持てる社会を,今いる大人が再構築しないと,子供に「頑張ってやってみよう」とは言えなくなってしまう.そのための方略は単純で,大人が「透明性」や「善悪」をきちんと守り,その姿を子供に見せればよいだけなのだか.
 大人のいう言葉がどんどん軽くなっている.  

 


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