全粥の割合はこう考える
誰に向けたわけでもないが、あえて挙げるなら私のようなポンコツ栄養士かヘタレ学生向けに。
全粥、というか粥全般に言えることなんですが、普段食べないわりには病院や施設だと必ず用意されているのが粥食です。いまの20代、30代で寝込んでいるときに粥食べる人ってたぶん絶滅危惧種じゃないかな。栄養士の私ですらそんなことしない、とまで言えたらいいんだけど、そもそも私は栄養士然としていないのでどうでもいい話だった。
でも、ときにその知識がやむにやまれず必要になる。必要なのは出てこないかもしれない暗記した知識ではなくて、考えれば取り出せる知識。とはいえ、その場でパッと出てこないと不信感抱かれそうではあるけど。
1.全粥は5倍粥
これは前提、つまり言葉の定義や意味の次元の話です。いわゆる普通のお粥というのは全粥のことを指します。では、全粥とはなにかというと、これは5倍粥を意味します。
全粥は、米1に対して水5の割合で作られるので、5倍粥といわれるんですね。当然、5倍だけでなく7倍粥、10倍粥といった粥もあります。結局、米と水の割合です。
2.炊いたごはんで全粥を作るには
さて、ここからです。病院や施設でもなければ、わざわざ米からお粥を作ることはあまりないと思います。一方でごはんを炊いて、もう一方で粥を作るのは面倒だからですね。時間もかかります。であれば、もう炊いてあるごはんで作ってしまいたいというのが人情です。
米に水分吸わせたのがごはんです。だから、米から作るときと同じ割合の水では多すぎることになります。どれくらいが適当かというと、ごはん1に対して水はその倍量です。その割合で作ると、概ね全粥相当となります。
3.理屈で考える”割合のちがい”
全粥を米から作る場合には1:5の割合ですが、ごはんだと1:2になります。栄養士でもなければ調べれば済む話ですが、もし知識として持っておくことが必要であれば、理屈で詰めておくと正しく覚えられる(かも?)
全粥は5分粥を意味し、5部粥は米1に水5というのは丸暗記せざるをえない事柄です。ただ、これは言葉の意味の問題で、字から想像しやすいのであまり問題にならないんじゃないかなと。むしろ問題となるのは、ごはんとの割合の違い。私は、聞かれてもすぐに出てきません。
ここからは数字で考えてみましょう。
米の重量100gは、ごはんに換算すると210gになります。その差は、炊いた際に吸収された水分量です。ちなみに、教科書的には炊飯時には米の体積1.2倍もしくは重量の1.5倍の水が必要とされます。ただ、この知識は少し古くて、もう今の時代は炊飯器次第らしいw
さて、米から粥を作る場合、水はどうでしたっけ? 1:5ですよね。だから、米100gに対しては、(便宜的には)水は500mLです。ここで、ごはんに戻ると、米100gはごはんにすると210gでした。
つまり、
米:水=100g:500mL だったのを
ごはん:水=210g:500mL
として考えることもできます。もちろん、厳密にはごはんには水分含まれているので多少異なります(後でわかります)。
ごはん:水=210g:500mL
を最小の比で表すとどうなるかというと、ごはん1に対して水はおおむね2.4程度となります。どうでしょう、ごはんから作る場合の比に近づいてきたと思いませんか?
ごはんから作る場合の1:2と1:2.4の間にはずいぶん開きがあるのですが、水蒸気として失ったり、便宜的にわかりやすくするという目的はあるかと思います。
たとえば、ごはんも米100gに重量の1.5倍の水を加水したら、全体で250gになるはずですが、出来上がりは210gなので、都合40gは水蒸気として失われているわけです。だから、ごはん1に対して水2.4ではなく2というのが理由ではないかと個人的には考えています。
まとめ
いつもありがとうございます。これからも役に立つnoteにしていきます。