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一瞬のサインを見逃さずその一瞬にかける事それが愛する事。

 こんばんは
生命という器の中にある命
その命を生ききり、
生きるとは、死ぬとは、そして命を
皆で共に考えたいとある看護師です。
そのために、今『愛する』とはどういうことか
日々の暮らし、自分の生きざまから、
内省し、そして気づきを得てることを
記しております。


 看護師をしていると、ふと、数年前の
あの患者様との瞬間
あの患者様とその御家族との会話
などを思い出すことがあります。
その大切なお一人から、愛するとは、
その瞬間を見逃さず、その一瞬にかける事だと
身をもって教えていただいたこと、、

そこについて記します。


長年連れ添った、ご夫婦。その御主人が、長年の在宅療養の中で、奥様が
何度も、『最期かもしれない』という覚悟をしながら、自宅療養されており
それでもまだ、次の桜が見れると思っていた矢先に
突然の状態変化による救急車搬送。
状態は厳しく、いつ急変してもおかしくない状況にて
その奥様が御主人と共にいれる時間を大切にして
その一瞬を気づきその瞬間にかけること
それが、どんなふうにできうるか。
そこに正解はない、でもベストを尽くし
その一瞬を、大切にして
その時を一緒に、大切にすること
それが、私達ができうる看護の立場からの愛。

 患者様は、状態がとても厳しく、
気管に呼吸を助ける管が入り
生命を維持するための血流が維持できないため
最大限の循環を助けるお薬が投与され
心臓の鼓動が、不安定になっている。
いつどうなっても、おかしくない状況にありました。
 その中で、救急外来から病棟へ移動する事事態も、
リスクがあることも、十分議論もされ、
慎重に移動されました。


救急外来で担当し、そこでも十分奥様と
面会して頂く時間を設けました。
そして、共に、病棟へ奥様とあがりました。
今の状況では、集中治療室の一画となり、
コロナ下では、付き添いも難しかった。
そのため、最期に
病棟で一緒に、御家族が、患者様のお付き添いをする
時間を設けました。


 病棟にあがったころには、
患者様のたった一人の御家族である奥様は
だいぶ動揺がとれ、
『今年の桜を一緒に観ようと思って。。だからそれまでは
最期どうするか、、そんな話は、主人とできなかったのよね。』
『自宅では本当に苦しんで息も絶え絶えだったけど。。
今は、眠っているようだわね。。』
そんな言葉がみられ、しきりにお声をかけておられました。


 別れ際
そっと、奥様は
『それじゃあ、また明日くるから、帰るね』
そうお声をかけて、帰ろうとしたとき
私は、たまたまなのか、偶然なのか、わかりませんが
患者様の手が、指がかすかに動いた瞬間に
気づきました。

直観で、この瞬間を見逃すことは、
できないと私の心が、叫びました。

『ちょっとまってください。
今御主人が、ちょっとまってと、奥様言ってます。
手が動いてるんです。ちょっと握って差し上げてください。』
私は思わず、そう言いました。
そして、そのあと5分ほどしばし手を握っていただき
またお声がけさせていただき、
しばし時間を共にしました。


 ICUをでて、玄関に通じるエレベーターのところまで、
お見送りしながら
奥様がぽつぽつと会話するのをじっと聴きました。
『私は仕事があるんだけど、いつも一人でじっと待っててくれて
なかなか最期のときは、トイレに行くのも大変だったのに。。
それでも、僕のせいで、仕事が途切れるのは、ダメだよって。。』
『最期に、治療をするかしないか選択したときに、
本当は、こんなふうに心臓や呼吸があぶなくなったとき
どうするか、決めましょうって言ってたんですけど。。
それも、なかなか話題にできなくて。。こんなことになってしまいました』
長い、長い御主人との想いを、話してくださいました。
最期に、彼女は
『また明日必ず来ます。』
そう言って、私も
『また明日』
そういって深く頭を下げました。


 ですが、『その明日』は、来ませんでした。。。

私は翌日、朝、彼の名前が、ICUのところから
なくなっているのをみて、
愕然としたのと、想ったんです。


 患者様のあの一瞬を見逃さず
その一瞬にかけて、
間違いじゃなかった。。そう思ったんです。
だから、言わせていただきたいのです。
今その瞬間は、明日、
また当たり前に来るわけではないと。
そうしたら、あなたはどんな言葉をかけますか。
その人に、どんな態度をしますか。
そう考えると
すべてが、それもよし!と思えるようになる
私がいることに気づきます。


そして愛することは
それを肝に銘じて
その会える、会えないは別として
今この夜空を通じて
時間を共にできるこの一瞬に
私は何ができうるか、そしてその一瞬にかけて
そして何かができるその瞬間を見逃さず
自分ができるベストを尽くす。
それが正解でも不正解でも。。
できることをする。それが愛する事なんだと
私は、想います。


 そして、今私ができる愛
それはこの、noteを通じて
明日こないかもしれない、それをわかってるからこそ
この瞬間に
想いを込めて
できうる限りの力で記すこと
それが、愛かもしれない。
いや、今できうる、愛と言わせてください。

 今日もあなたも、私も、十分生きました。
あなたが、この地球に生まれてきて、
そして私も生まれてきて
今、こうして同じ夜空の下に、共にいれることに
このかけがえのない命に
愛を、そして感謝を。
ありがとう。そしておやすみないませ。
また明日。。必ず会いましょう。



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