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【雑記4】WBCプールA、Bの感想

 日本時間2023年3月8日、WBC(ワールドベースボールクラシック)が開幕した。初日はプールAのオランダvsキューバと台湾vsパナマの試合が行なわれ、翌日の3月9日にはプールAのオランダvsパナマとキューバvsイタリア、プールBの韓国vsオーストラリアと日本vs中国の試合が行なわれた。

 筆者は暇人ゆえにほとんどの試合をライブで見ることができたので、雑記ながら各国の印象を書いていきたいと思う。
予防線を張らせてもらうが、基本的に筆者はNPB専でたまにエンゼルスやパドレスの試合やワールドシリーズを見る程度のMLB知識しか持ち合わせておらず、KBOやCPBLなどのその他の海外リーグには全く明るくない事をご容赦願いたい。

オランダ

 メンバーを見たときに「これ前回大会とメンバーかわってなくね?」って思うくらい"イツメン"が目立つなと思った。NPB史上最強助っ人のバレンティンやメジャーで今も活躍し続けているボガーツ、プロファー、数年前にヤンキースで大活躍したグレゴリウスなど蒼々たるメンバーだが、全員30代半ばくらいでたぶん次回大会では全員いないんだろうなと思う(バレンティンはこの大会終わったら引退するらしいし)。
 ただ一方でメジャーやNPBで一定の成績を残したベテラン選手だけでなくそれ以外の若いメンバーもメジャーやマイナーリーグなどでバリバリやってるだけあって、初戦のキューバ戦や翌日のパナマ戦では堅実な勝ち方で2勝をあげた。この危なげのない感じを見るにプールAの1位通過は確実なのではないかと思っている。

台湾

 西武の呉念庭をはじめ日本になじみ深い選手が多く出場している。特に鷲ファンからすれば宋家豪がいる台湾を応援する方が面白いかもしれない。
 初日のパナマ戦ではまさかの12失点であわやコールドかというところだったが、メジャーや日本球界である程度やっている(やっていた)選手達はこの舞台でも全然勝負になるなと感じた。
 西武の1軍メンバーである呉念庭は4打数3安打(内本塁打1本)2打点、現役メジャーリーガーで通算104安打14ホーマーの張育成は5打数2安打1打点。投手だと西武で1年だけ中継ぎで投げたC.C.リー、DeNAとロッテで7年間先発や中継ぎに大車輪の活躍をした陳冠宇、楽天で松井の次に信用できるリリーバー宋家豪は12失点した投手陣の中でいずれも無失点でしっかりと実力を見せた。
 もしケガで出場辞退となった張奕(オリックス→西武)がいれば……とタラレバの話をしてもしょうがないが、先発も出来る彼がいればちゃんとした勝負にはなったのではないかと思ってしまう。一安大王……攻勢終結者……小玉……いえ、知らない子ですね。
 ショートの江坤宇の守備がとても良かったし全体として打撃は思ったより良くて、なんだかんだ最終的に5点取った打線より四球まみれの投手陣とぽろぽろしたり明後日の方向に投げたりする(ショート以外の)守備をなんとかした方が良いよなと思った。少なくともパナマとの差は守備だと思う。
 あとちょいちょい応援のチアのナマ足が画面に映って目に毒だなと思いました。楽天公式チアのリンシャンちゃんがめちゃくちゃえっち。

パナマ

 正直どういう選手がいるのかほとんど知らなかったが、Twitterで各国の戦力を表にしてまとめて下さってる方がいてそれによると現役メジャーリーガーや元メジャーリーガーが10人くらいいて、他の選手もマイナーリーガーなどが多いかなりハイレベルなチームだそうだ。よくよく見ると投手陣にはエンゼルスの"ナイトメア"の中でもかなりマシな中継ぎであるバリアがいたり、守護神は100マイルのシンカーを操るロッキーズのローレンスとなかなか強そうなメンバーである。
 実際試合を見てみるとまず守備がめちゃくちゃ硬い。予選は無失点で突破したという情報もあり、なるほどこの守備の硬さではそうそう点は入らないだろうなと感心した。

 打線もホームランこそないものの繋がり始めると手を付けられない印象を受けたし、抑えのローレンスもスタッツを見るかぎり三振はめちゃくちゃ取れるがノーコンという感じだったが実際はとんでもない剛球を投げて危なげなく3人で締めており、なかなか手強そうな印象を受けた。
 翌日のオランダ戦も負けはしたものの前日の試合が24時を回る大熱戦であったのを考えると疲労の面で可哀想なところもあり、その中でも3-1と終始ロースコアな展開だったので強豪相手にも引けを取らない試合をするなぁと感じた。プールAの1位はオランダでほぼ間違いないだろうが、2位にパナマが入ってきても正直おかしくはない。

キューバ

 異例の亡命者招集解禁をしてもなお投手陣に関してはNPB選手頼みという印象。元メジャーリーガーはいるものの全盛期はとうに過ぎており実際の主戦力は先発に回ったジャリエル・ロドリゲスや中継ぎ・抑えのモイネロとライデル・マルティネスといったNPB選手でありそれ以外の投手が頼りなく感じた。実際初戦のオランダ戦もジャリエルが4回6奪三振1失点にまとめたが後続の元中日・阪神のガルシアなどが打ち込まれ敗戦。それを学習したのか翌日の試合ではモイネロとライマルを惜しげもなく投入し強引に回跨ぎさせた結果本来のクオリティを発揮できず、守備の乱れもあり失点し敗戦した。勝ちパターンは優秀だがそれ以外の投手の層の薄さが短期決戦ゆえに目立ってしまった結果だと思う。
 打線も湿っており昨年ホームラン10本以上打った現役バリバリのメジャーリーガーが2人もいても2戦で5点しか取れていないのはさみしいし、守備に関してもここぞの場面での落球や捕逸が目立ってしまった。(たまにすごいプレーもあるが)

 キューバ代表にはNPBで活躍する(した)選手が多く、モイネロの「日本のファンの皆さんはできれば日本代表の次にキューバ代表を応援して下さい」というお願いでキューバを応援していたがなんとも悲しい結果だ。これも亡命による人材流出の結果なのだろうか。

イタリア

 今年のイタリアはメジャーリーガーを多数招集しており、エンゼルスの試合を見ているとなじみ深い大谷の親友デビッド・フレッチャーや、ロイヤルズで昨年10本のホームランを打った期待の若手パスカンティーノ、同じくロイヤルズで3割打ったこともある俊足好守のニッキー・ロペス、昨年40試合以上投げた中継ぎであるフェスタやパランテ、かつてサイヤング投票3位にもなったことがあるベテラン右腕ハービーなど蒼々たる陣容である。また、デビッド・フレッチャーの弟であるドミニク・フレッチャーも出場している。前々回大会くらいのマエストリ(元オリックス)が出ていたときより格段にレベルアップしている印象だ。
 フレッチ(デビッド・フレッチャーの愛称)が出ていると言うこともあって中国vs日本と同時視聴でちらちら見ていたのだが、思ったよりメジャー組がしっかりと活躍している。上記メジャー組打者は全員ヒットを放ち、パスカンティーノとロペスにいたっては勝負所でしっかりと打点を挙げている。4番に座ったフレッチ弟も正直最初ラインナップ見たときに(なんで4番なの……?)と思ったがめちゃくちゃ活躍した。ごめんフレッチ弟。
 投手陣もハービーが昔の本格派からモデルチェンジしベテランらしいテクニカルなピッチングで試合を作り、大崩れしないリリーフ達が試合をまとめてくれるので非常に安定感のあるチームだと感じた。守備も硬くデータに基づいた極端なシフトもおもしろい。
 このまま行けばプールAはオランダ、パナマ、イタリアの三つ巴になりそうで非常に楽しみだ。次戦の台湾戦も見逃せない。

韓国

 日本の永遠のライバル韓国。バリバリのメジャーリーガーであるトミー・エドマンとキムハソン、未来のメジャーリーガーで韓国のイチロー イジョンフなどを擁した打撃陣は非常に評価されており、実際オーストラリア線では7点も奪う活躍を見せた。1点ビハインドで二塁打を放ちチャンスメイクしたは良かったものの、興奮でベースから離れてしまいアウトになったカンベクホ

や最終回に盗塁失敗したエドマンが取りざたされるが、実際一番問題なのは8点も取られた投手陣だと思う。全体的にコントロールは破綻していないものの甘い球を痛打されることが多く、8回9回に投げた守護神っぽいイヨンチャン以外には制圧力をあまり感じなかった。
 今日3月10日は日本vs韓国だが、日本は韓国自慢の打線にやられないように気をつけて欲しい。

オーストラリア

 練習試合の社会人相手に負けたりしており大丈夫か?となったオーストラリア代表だが、前評判とは裏腹に韓国戦では強力打撃陣が火を噴いた。韓国中継ぎ陣の直前までしっかりコントロールされていた中でたった一球だけ甘く抜けた変化球や、ピンチの場面でストライクを取りに来た直球などを見逃さずにしっかりとハードヒットしてそれをホームランにする勝負強さは東京ドームの狭さも相まって日本代表にとっては非常に怖い存在になると思う。
 オーストラリア先発のオローリンは22歳ながらサウスポーで常時160kmの剛速球を連発しブレーキの利いたチェンジアップや切れ味鋭いスライダーなどを投げ込み、非常に高いポテンシャルを見せた。ただ中継ぎピッチャーは交替していく毎にどんどん微妙なピッチャーばかりになっていたのでやはりその部分の層の薄さは顕著に感じられた。

中国

 一番驚いたのが中国である。まず全体的に守備が硬い。ファーストは球際や捕球に難があるのかしょっちゅうぽろぽろしていたが、二遊間は非常に硬かった。Twitterの野球ファンからはその風貌から綺麗な西岡剛とも呼ばれた楊晋は特にすごい守備を連発し、正直ウチの贔屓も是非欲しいくらいである。キャッチャーの李寧もキャッチングが上手く、ピンチを場面では投手に対して落ち着くようにとジェスチャーをしたりマウンドに駆け寄ったりと奮闘しており、バッターや球審に対してもしっかりと気にかけて行動しているように見えたし非常に良いキャッチャーだなと感じた。
 そしてピッチャー。計17四死球はすさまじいが、コントロールが破綻していたというよりは、低め低めを徹底してくさいところに投げていた結果の四球だと思う。先発の王翔や2番手の王唯一、3番手の孫海竜などは19歳~20歳の非常に若い選手達だったが、全員低めとコーナーにきっちり投げることが出来ており、ちゃんと育てれば非常に良い選手になりそうだと感じた。
 打者もスイングが強く、特に戸郷からホームランを打った東海大菅生高卒の梁培は非常に良い選手だなと感じた。ちなみに梁培は日本生まれ日本育ちであり中学の頃調布シニアで清宮幸太郎(日ハム)の先輩、東海大菅生では田中幹也(中日)の先輩でもあったという。

 WBC次回大会は今19歳や20歳の選手がちょうど成熟してくる頃で、中国はきっと手強いチームになって戻ってくると思う。その時が非常に楽しみだ。人口1億2000万程度の日本で大谷やイチローのようなすごい選手が生まれてくるのだから、中国の14億の中にはきっと野球界の至宝のような選手が埋もれているに違いない。

さいごに

 WBCは初日から非常に面白い試合が続いており、やはり野球は最高だと再確認させられた。まだプールCとDも控えており、今後の戦いも目が離せない。みんなもWBC、見よう!!

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