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訪問介護事業所「4割弱赤字」 基本報酬引き下げ巡り厚労省明らかに・・・という記事の紹介です。

高い利益率を根拠に基本報酬が引き下げられる訪問介護ですが、どうも高い利益率の根拠になっていた資料で、訪問介護の約4割の事業所が赤字だった事も示されていたようです。

倒産件数が増加している事、新規事業所が増えている事、平均利益率が高い事、約4割の事業所が赤字である事・・・、これらの事実はいったいどういう事をしめしているのでしょうか。

新年度介護報酬改定で訪問介護の基本報酬の引き下げに反発が広がっている問題をめぐり、厚生労働省の直近の調査で訪問介護事業所の約4割が赤字だったことがわかった。同省は報酬を引き下げる根拠の一つとして、訪問介護の利益率がすべてのサービスの平均を大きく上回るデータを挙げてきたが、調査は小規模事業所を中心に厳しい経営を迫られる可能性を示している。

新年度からの介護報酬改定では職員の賃上げなどのため、全体では1・59%を増額する。特別養護老人ホームなど大半のサービスでは基本報酬を上げる一方、訪問介護は減額することが決まった。引き下げる根拠として、同省は「経営実態調査」(2022年度決算)で、訪問介護の収支差率(利益率)が全体で7・8%となり、全サービス平均の2・4%を上回ったと説明していた。

朝日新聞デジタル

無料で読める記事の内容では詳細まで見えなかったので、ちょっと調べてみるとこちらの記事を見つけました。

政府が基本報酬引き下げの根拠としているのが同省の「2023年度介護事業経営実態調査」です。訪問介護は3105事業所を対象に調査、1311事業所が有効回答しています。厚労省は全介護サービス平均の収支差率(利益率)が2・4%なのに比べ、訪問介護の平均収支差率は7・8%と高いことを引き下げの理由にしていました。

ところが本紙が厚労省から入手した同調査結果資料によると、収支差率が「0%未満」の訪問介護事業所が36・7%(481事業所)を占めることが分かりました。

しんぶん赤旗

やはり4割近い訪問介護事業所が赤字のようです。
しかし、同じ資料にこのデータが載っていたのであれば、業界団体は何を見て審議会や議論の場に出ていたのだろうか・・・今更反対している動向もよくわかりません。

ちゃんと資料読んでなかったのかなぁ・・・。

また収支差率は、すべての値を小さい方から順に並べた真ん中にあたる「中央値」では4・2%だったことも厚労省資料で分かりました。「平均値」の7・8%と大きな乖離(かいり)があります。訪問回数が月400回以下は収支差率が1%台ですが、同「2001回以上」は13%台と10倍以上の開きがあります。ヘルパーの移動時間がほとんどない集合住宅併設型や、都市部の大手事業所が「平均値」を引き上げています。

しんぶん赤旗

平均じゃなくて中央値を知りたかったのでこの記事はありがたいですね。

収支差率の中央値は、4.2%だったという事です。
思ったより高いなぁ、という印象です。

やはり訪問回数が多いほど利益率は高くなりますよね。
記事でも指摘されていますが、効率的に移動できる併設型が利益を上げやすい構造にある事を示したデータとも言えそうです。

政府が赤字を知りながら引き下げるのは、小規模事業所はつぶれても構わないと考えているからでしょう。経営実態調査は複雑で、未回答には事務職員がいない零細事業所が多く含まれ、赤字比率はもっと高い可能性があります。

しんぶん赤旗

もともと国や厚労省は、大規模事業所や社会福祉法人の大規模化を進めてきたので、小さな事業所は潰れていいと思っているのは当然ですが、僕の事業所も小さな事業所ですけど生き残る気は満々です。

しかし、国や厚労省のこういった調査は、確かに面倒ですけど、こういう判断の根拠にされる可能性があるので忙しいから回答しない、という選択肢はないと思ってたんですけど、結構回答してない所が多いみたいですね。

記事でも指摘ありますけど、そこまで余裕ない事業所はそもそも赤字の可能性も高いので、本当はもっとひどい現状の可能性もあります。

厚労省の20、21年度決算でも、月当たり訪問回数が「200回未満」の小規模事業所は赤字でした。赤字事業所の多くは零細・小規事業者とみられます。

しんぶん赤旗

訪問介護事業所は、常勤換算2.5人の体制基準がありますので、最低でも3人の職員がいないと運営できません。

月に200回だと、1件あたり4000円(当事業所は3200円)として、80万円の収益にしかならないので、3人の職員にお給料を支払って事業継続できるような状況にはならないので赤字になるのは当然と言えるでしょう。

まぁでも、普通に2.5人の職員配置があれば1日6件くらい派遣に出れば普通に300件は超えるので、さすがに月200件というのは経営・マネジメントの問題のような気もします。

大手企業が報酬単価の高い「身体介護」中心にシフト、同じ集合住宅を回り効率の良い住宅併設型で利益を上げるなか、住み慣れた地域で掃除、洗濯など「生活援助」を提供し在宅介護を支えている小規模・零細事業者の経営悪化が危惧されます。

しんぶん赤旗

当事業所は、モロに生活援助中心なので本当に危機に直面していると言ってもいいでしょう。
幸か不幸か、この時期にようやく軌道に乗って来たので、次の報酬改定の単位に減らされてもダメージは少ないです。

特に処遇改善加算の運用をどう工夫するかで運命が変わる気がするので、処遇改善加算の支払時期、どういう手当や工夫で支給するのか、4月1日まで残り期間は短いですけど、このあたりしっかり練りに練って経営的にもうまくいくようなラインを導き出したいと思います。

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