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SOMPOケア「介護施設ごとに適正な人員配置は異なる。画一的な基準で縛るのは現実的ではない」・・・という記事の紹介と、ユニクロの賃金アップに関する記事の紹介です。

1月も何やかんやともう中旬ですね。

NTT東日本とは電話回線についての手続きが進んでいて、なんとか今月中には電話番号等は確定できそうです。

銀行口座がまだ連絡ないのでどうなっているか不明ですが、いろいろ書類を整理している中で現在会社設立の関係で建て替えている費用が約50万円ほどになっていて、ちょっと背筋が寒い今日この頃です。

ユニクロが新卒の給料など大幅にアップさせる報道が出てからいろいろと追随していきそうな流れが出来ていて、それ自体は凄く歓迎されるべきですし、物価高騰に合わせて労働者の賃金が上がる事は非常に良いことだと思いますので、どんどんそういう流れでやってほしいのですが、一方でおそらくですけど、介護業界はこの流れにすぐに乗れないと思うんですよね。

処遇改善も加算を主にした仕組みでなんとか他産業と比較しても低すぎない程度になってきた矢先でこの状況ですので、あらためてまた介護業界全体の処遇が他産業と比較しても低いものになりそうです。

介護だけでなくて保育も非常に厳しい環境なので、やはりそういう業界は置いてけぼりをくらうのだろうな、という感じで見ています。

そんな中で、SONPOケアのICT導入による人員基準緩和に関する続報が出たので紹介しようと思います。

センサーやAI、ICTといったテクノロジーをフル活用して業務を効率化すれば、サービスの質を下げずに介護施設の人員配置基準を緩和できるのではないか − 。

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個人的には無理だろうと思っています。
出来るし施設もあれば、サービスの質が低下して虐待や身体拘束の事例が増えるような事態にもなりかねないと思っています。

こうした構想を試す実証事業を国と行っているSOMPOケアが12日、都内で記者会見を開催。遠藤健代表取締役会長 CEOはその成果について、「かなりの手応えがある」と述べた。【Joint編集部】

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実証の期間ですけど、そこまで長期間出ない気がしますので判断とか評価するには早すぎる気がします。
そしてこの時点でかなりの手ごたえ・・・というものなぁ・・・と、実際の現場の職員の声を聴きたいのが正直な所です。

SOMPOケアは自社の12の介護付きホームで、昨夏から実証事業を実施。現在は厚生労働省などが、現場で得られたデータの分析・取りまとめを進めている。

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夏からという事ですから8月としても半年程度の期間です。
2024年度の介護報酬改定の判断基準にするのであれば、1年程度の取り組みを見てからでもよさそうですけど、分析とかとりまとめも含めるとこのくらいのタイミングで評価が必要なのでしょうか・・・。

現場から人を減らす基準を作ろうとしているのですから、僕らの感覚でいくと凄い大事なんですけど・・・。

遠藤CEOは会見で、「12施設で全て一律の成果が出た、というわけではない。例えば利用者の状態、職員の熟練度、施設長のマネジメント力など、個々の施設の状況・環境によって業務を効率化できた度合いが違う、という非常に自然な結果が出た」と報告。「人員配置基準の緩和をめぐる議論は国の審議会などに委ねたい」と語った。

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あとは国の審議会に任せるという感じですが、普通に考えたら現場の事がわかっている人なら実証実験とかなしないでもわかるような事が報告されています。

利用者さんの要介護度というか、個々の状況で同じ要介護1でも全然違いますので、本当に利用者さんと職員の差で大きく現場の状況や負担感は違ってきます。

介護の現場で直接ケアを提供しているのは機械ではないので、そういう知識や技術を本当ならある程度標準化しないといけないんですけど、医師や看護師と違って介護現場の職員はそういう基礎的な部分を一定期間指導されたり実習して一定基準以上の知識や技術を習得してから現場に入るわけではなく、そういう基礎的な知識や技術、常識から現場で仕事をしながら習得させていくしかなく、更にいうと業界全体の処遇が低い事で、これは完全に個人的な感覚ですけど、教育レベル、教養レベル、知識レベルも他産業よりも低いような気がしています。

ですので、普通なら習得できるような事でも時間がかかる人が多いですし、そもそもそういう業界で適切に指導育成に関する指導育成を受けてきた人もいないので、育てられるリーダーがいません。

そしてどんどんと人手不足になるので、より現場での育成が困難になり頭数だけそろえていればよい、みたいな現場も増えてきているように思います。

多くの現場はこんな状況だと思ってますので、本当に職場ごとにレベルの高低ははっきりしているように思います。

あっちの職場では問題なくケアを提供できていた利用者さんが、こっちの職場では落ち着かなくなって問題がある利用者という烙印を押されてしまったり、本当に介護職との出会いが介護を必要とする利用者さんの人生を大きく左右していると思います。

同じ介護福祉士でも、こんなにレベルの差があるか、というような状況はあります。残念ながら。

そんな状態なので、そりゃどんな技術を導入しようが施設の構成メンバーの力量によっては活用できたりできなかったりは当然ですし、利用者さんの状況も全然違いますので、本当に千差万別です。

なので、ICTを導入したからといって、思ったような効果が出るかというと、そう簡単にはいかないと思っています。

「施設ごとに個別性、多様性、特殊性がある。例えば利用者の平均要介護度が2の施設と4の施設。同じサービスの質を保とうと考えた時に、なぜ一律に3対1という人員配置基準が正しいのか。そのことを問題提起したい」と趣旨を説明。「施設の状況・環境によって適正な人員配置は異なるはず。3対1や4対1という画一的な基準で縛るのは現実的ではないし、それでは介護事業の発展にもつながらない」と強調した。

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この内容も現場職員のレベルによって変わってきます。
同じ状況でも、このくらいなら大丈夫、と思える職員もいれば、こんな状況では無理です、という職員もいます。

だから人員基準という最低限度の基準は必要なんだと思っていますし、その基準はできるだけ現場に余裕がある基準であるべきですが、何を根拠に今の人員基準が出来たのかわからないし、聞かせて欲しいのですが、今はその基準を緩めて現場の人員を少なくしてもいいよ、という事を進めようとしているわけで、今の基準でさえ加配してなんとかギリギリで現場を回しているのに、本当に何を考えているのだろう、という感想しか浮かんできません。

「我々は拙速に一律で4対1へ緩和して欲しいと主張しているわけではない。介護現場のリアルは多様性・複雑性だということを、今回の実証事業でしっかりと提示していきたい。そうしたファクトデータが出ているので、議論は国の審議会などに委ねたい」と述べた。

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多様な現場の状況を、じゃあどうやって適切に判断して適切な配置員数を割り出すのか教えて欲しいです。いくら考えても思い浮かびませんし、それこど入居者さんの顔ぶれが一人でも変われば全体も変わりますし、職員構成も一人変われば全体が変わります。
その都度、適切な人員配置の員数を評価して増やしたり減らしたりするのでしょうか・・・そっちの方が現実的ではないですし、そこまで多様な職場があって判断が難しいという事がわかっているのであれば、人員基準の緩和はやめた方がいろんな意味で安全だとは思います。

あと10年たてば
若者は「希少資源」になる

 一つ目は、「国内の優秀な若者は今後急速に希少資源になっていく」ということです。

日本の給与制度は年功序列が崩壊した後、現在でも多くの企業で「若いうちは安い賃金で働かせ、50代に給与が最大水準になる」ように設計されています。ちょうど今、2023年時点では、この給与が最大水準になる年代である45歳から54歳のレンジに団塊ジュニア世代が入り、文字通り日本経済のけん引役となっています。

ところがあと10年もすれば、この構造が壊れます。団塊ジュニア世代が塊として55歳以上の「働かないおじさんと同じ年代」へと移行するとともに、それよりも若い年代の人口が大幅に減ります。どれくらい減るかというと、10年後には日本人全体で45歳未満の働き盛りの人口は今よりも15%減ります。

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こういう事を介護業界がどこよりも先にやってないとダメだったと思っています。SOMPOケアも処遇アップの取り組みは進めていましたが、こういう他産業から介護に流れをつくるような事ではなく、介護業界の中でだけどうか、というレベルだったので・・・。

こうしてグローバル企業の大手が世界と比較してもそれなりの見栄えになるような処遇を準備した場合、現時点で既に人気の低い介護業界に、これからの若手が来る事はほとんどないと思います。

二つ目に重要な点は、「投資」です。企業が成長するためには投資をしなければなりません。ここまではどの経営者も理解しているでしょう。ですが、その投資対象がポイントです。2023年時点においては、人材とテクノロジーへの投資が2大重要投資対象に変化してきているのです。言い換えると投資対象として、設備投資や資源投資、不動産投資よりも、「人」の重要度が増しているのです。

これからの企業の成長を左右するのは、間違いなく30代の優秀な従業員の層の厚さです。しかし、日本企業がここ十数年見誤ってきた落とし穴があります。

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人材への投資は本当に重要ですが、そこまでやれるのは大手しか難しいでしょう。
限られた介護報酬では、はやり大規模な会社の方が有利です。

新卒社員が転職するトレンドができたことで、「人の投資は転職で賄える」と考えるようになったことです。実際はそのトレンド認識は誤りで、現実には優秀な従業員は優秀な職場に集中するようになっています。

つまり一流企業は今後ますます一流の座を維持しやすくなってきていて、二流以下の企業はますます人材が不足する事態が加速することになります。

ブラック企業から持続的に人が働きたいと思う企業へと少しでも早く移行しなければ、成長ができない時代が始まります。

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優秀な人材は優秀な職場に集中する。
これは介護の現場でも同じと思います。

いかにこれからの世代で優秀な介護職が働きやすくいスキルを発揮しやすいかどうか、そういう若手を更に成長させられるシステムや指導者・リーダーがいるかどうか、ここが本当に重要で、ここに投資しなければ介護事業所は生き残れないはずです。

そして人材不足は確定的になったので、いままでよりも更に過酷な状況で上記条件を現場レベルで満たせないといけなくなるわけです。

今の状況で大変だ・・・なんていう事では当然生き残れないわけです。

これから先の10年間で起きることを、改めてまとめてみましょう。少子高齢化によって働き盛りの人口が15%減少することで、若い人材が希少人財となっていきます。同時に日本の地位が下がることで優秀な外国人労働者も採れない時代がやってきます。

一方で、企業が成長するための人財への投資の重要性が増します。結果として起きることは、若くて優秀な人財の奪い合いが始まるのです。

その文脈で考えてみたときに、経済団体のトップ企業の中でこの春の賃上げ幅をなんとか5%にするかどうかで悩んでいる企業と、この春、従業員の賃上げ幅を15%にすることを決めた会社とでは未来が分かれ始めている。ファーストリテイリングの賃上げのニュースはこのように、大企業間の競争が静かに始まっていると見るべきニュースだったのです。

(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)

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こういう競争に介護業界が割り込める余地など想像ができません。

国は、ちゃんと世の中の状況を把握しながら適切な対策をとらないと介護業界は人手がなくて崩壊してしまいます。

上記の引用でも記されていますが、もうこれからは外国人を介護現場で雇ってなんとかする、という構図も難しくなりますし、おそらくですけど日本で介護現場を経験している外国人労働者は、3年程度経験を積んで最も高齢化と人材不足が進んだ日本での介護を学んで、自国に持ち帰って起業したりするために来ていると思いますので、外国人労働者頼みの体制確保もいずれ限界がくると思いますし、そもそも日本の介護業界の処遇が他産業より低ければ、日本での就労自体に魅力がなくなっていくと思いますので、ユニクロの処遇改善のニュースを見た時に、これではもう八方ふさがりだな・・・と正直思いました。

ただ、その中で起業していくわけですので、ピンチの中で何とかチャンスを見つけて生き残り戦略を考えていきたいと思います。


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