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人手不足がどうなるのか調べてみました。

介護現場の人手不足が叫ばれ続けてもう長いですが、いよいよ深刻になる2025年を前にして、いやいや人手不足は介護職だけではないし、どこでも人手不足になるんだから全体を見たときにどうなっているのか知りたいなぁ、と思って調べてみました。

2018年の古い記事と、2022年の最新の記事があったので比較も含めて二つの記事を紹介してみようと思います。

まずは2018年10月の記事です。
人手不足は644万人まで拡大するという事が示されています。

人手不足数は17年の121万人(6月時点)から20年には384万人、25年には505万人、30年には644万人と徐々に拡大し、効果的な対策を講じなければ日本経済の成長を阻害する要因になりかねないという。

ITmedia ビジネスオンライン

2017年の時点で121万人が足りない状態だったようで、そこから更に2025年では505万人が不足し、2030年では664万人と、どんどんと拡大していく事が数字でみてもよくわかります。

コンビニでもスーパーでも、どこでも求人ポスターが掲示されていますよね。
4年前ですが、この4年間でどう見込みが改善できたのか見えてくれば、何らからの効果的な対策が打たれていると思いますが、実体験の感覚で見ると改善されているような実感はない感じです。

ただ、介護現場については処遇改善の取り組みが進んでいるのでもしかしたら人手不足の予測の数値については減少しているかもしれません。

30年時点で最も人手不足に悩まされる産業はサービス業で、400万人が足りなくなると予測。次いで、医療・福祉(187万人不足)、卸売・小売業(60万人)、製造業(38万人不足)、運輸・郵便(21万人不足)――という結果だった。一方で、建設業では99万人、金融・保険・不動産業では30万人の余剰が生じる見込みだ。

ITmedia ビジネスオンライン

サービス業での人手不足が本当に深刻ですね、介護医療の倍以上の人手不足が予測されています。
意外だったのが余剰が生まれる業種もあるのを知ってびっくりしました。
建設業で99万人、金融保険不動産業で30万人なので、合計で129万人の余剰が生まれるとの事。

単純には行きませんけど、うまく足りない業界に足りている業界からの援助なりがあればよさそうですけど、仕事なので向き不向き等も色々あるので何かしらの工夫は必要になるのかもしれませんね。

都道府県別にみてみると、東京都(133万人不足)、神奈川県(54万人不足)、千葉県(36万人不足)、愛知県(36万人不足)、埼玉県(28万人不足)、静岡県(24万人)兵庫県(22万人不足)などの大都市圏に集中した。
研究を担当した中央大学経済学部の阿部正浩教授は「人手不足が深刻化するサービス業や医療・福祉関連の企業が大都市圏に集中しているため」と指摘する。

ITmedia ビジネスオンライン

都会の人手不足が本当に深刻化していくようですが、田舎でも十分に人がいないのですけど、このあたりは人口規模が大きくなればなるほど不足感が大きくなるのかもしれませんね。特に都会では不足が深刻になるサービス業(1位)や医療介護(2位)が多いという事が関連しているようです。

この人手不足の数値ですが、東京だと133万人の不足と出ていますが、これって133万人が2倍働かないと現状の回らなくなるよ、という事なんでしょうか・・・、数値だと値としては理解しやすいんですけど、じゃあ実際自分にとってどうなるの?という部分ではフワッとしているので具体的なイメージが出来ないんですよね。

30年時点における644万人の人手不足問題を解消するには、女性・高齢者・外国人の雇用を増やすことと、AI(人工知能)などを活用することで生産性を向上させることが求められるという。

ITmedia ビジネスオンライン

この辺りの取り組みをどうするか、この4年間でどうなってきたかを見ていかないと難しいですよね。

外国人の雇用については、これだけ賃金が低い日本に出稼ぎに来る外国人っていないんじゃないか・・・と思います。
そういう意味では、女性や高齢者にも活躍してもらうような仕掛けは必要ですけど、そうなると色々と古い法制度や慣習や常識を変えていかないといけないと思いますので、本当に多様性を認める事がしっかりと出来るようになっていかないとダメですよね。

高齢者介護の仕事を長くしてきたので、年配の方々が元気に活躍できる社会はいいと思いますし、そういう社会になれば介護予防にも繋がると思います。

2018年10月時点の予測グラフ (ITmedia ビジネスオンライン)

それでは次の記事が2022年4月の記事になります。

少子高齢化
日本は世界的に見ても、急速に少子高齢化が進行している国の一つです。日本の生産年齢人口(15〜64歳)は1995年をピークに、総人口も2008年をピークに減少に転じています。

PERSOL

少子化は解決すべき課題ですが、今すぐに子供が増えるわけでもないので人口については、この先もどんどんと減少していくと思いますし、人間が生まれて成長していく過程を考えると、この先100年くらいは人口が少ない状況が継続していくのではないかと思います。本当に深刻です。

パーソル総合研究所が、中央大学経済学部の阿部正浩教授と共同開発した「予測モデル」による2030年の推計では、「7,073万人の労働需要に対し、見込める労働供給は6,429万人であり、644万人もの人手不足となる」という予測がなされました。推計の通りに人手不足が進行した場合、2017年には1,835円だった実質賃金(時給)は、2030年には2,096円にまで上昇するとされています。

PERSOL

この記事、申し合わせたかのように2018年の記事のデータと同じです。
2030年の人手不足は644万人。
時給も2018年の記事のグラフ図でも2096円と示されているので、同じ額になっています。

4年前なので同じデータを元に算出されているのかもしれませんし、4年という期間では改善されていたとしても数値は動かないのかもしれません。

【出典】株式会社パーソル総合研究所「労働市場の未来推計2030」(PERSOLより)

人材のミスマッチ
人手不足が起きる要因は、単なる従業員数の不足だけではありません。就労・産業などの大きな構造変化が、社会全体ないし職場内での人材のミスマッチを生んでいるという要因 も考えられます。

「中小企業白書」のデータを見ると、事務的職業、運搬・清掃・包装などの職業では有効求職者数が有効求人数を大きく上回っているのに対し、販売・サービス・介護関係の職種では逆の状況が続いていることが分かります。

PERSOL

2018年の記事でも建築業や金融業では人手が余剰するという予測が出ていましたので、そういうのもミスマッチの一つなのかもしれません。
サービス業や介護関係の職業が単純に魅力がないという事なのかもしれませんが、そうであれば僕ら現場にいる人間は、やはり介護の仕事の魅力や働く環境について発信して知ってもらう、興味をもってもらっていく事も必要だと思います。

【出典】中小企業庁「中小企業白書 2017」(PERSOLより)

「求人を出しても人が来ない」と困る企業がある一方で、「探しているのに職が見つからない」と悩む求職者がいる。企業と求職者の間で求める能力や資格、労働条件などのミスマッチが生じていることに起因する「構造的失業」といえます。

労働力不足と構造的失業のダブルパンチが、慢性的な人手不足という事象を引き起こしています。

PERSOL

探しているのに職が見つからないという人に、介護の仕事がどう見えているのか興味を持ってもらえるのかがポイントになりそうですね。
ミスマッチをいかに改善できるかも重要な課題になると思います。

宿泊、飲食を含むサービス分野
コロナ禍で現在の状況は変わっていますが、外国人旅行者の増加を追い風に、観光分野を中心に需要が大きく伸び、それに伴い、人材が多く必要となりました。しかし、休暇の取得しづらさ、賃金の低さなどが原因で、特に中小企業においては離職率が高いのが特徴です。

医療・福祉分野
医療・福祉分野の中でも特に介護分野において、人手不足が顕著です。

団塊の世代が75歳に達する2025年の介護サービス量は、2017年に比べて、在宅介護で24%、居住系サービスで34%、介護施設で22%増加すると見込まれています。ニーズは増加する一方、賃金水準がなかなか上がらず、法人や事業所の理念や運営、キャリアパスの整備など雇用管理の不十分さなどを理由に、人手不足が続いています。2025年における需給ギャップは、約55万人ともいわれています。

PERSOL

人手不足が深刻になる業種として、2018年の記事でもピックアップされていたサービス業と医療福祉業について紹介されています。

医療福祉分野では特に介護分野で人手不足と紹介されています。
ニーズが増加する一方で人手不足が深刻化するのですが、その理由に理念・運営・キャリアパスなどの雇用管理の不十分さが指摘されています。
原因が分かっているのであれば、あとは対策ですが、逆に考えると雇用管理が不十分なままで介護保険制度は20年以上も走ってきたのかと思うと寒気がします。そりゃ定着しないよなぁ・・・と思ってしまいました。

建設分野
高度成長期以降に整備したインフラは、今後一斉に老朽化すると見込まれています。2030年頃までの間に、建設後50年以上が経過した施設の割合は加速度的に高くなっていき、労働力の需要もそれに比例して上がっていきます。

ところが、休日が取りづらいことなどを背景に、工事の直接的な作業を行う技能労働者のなり手は少なく、高齢化が進行している上に高齢の技能労働者の大量退職も迫ってきています。2025年における技能労働者の需給ギャップは、47〜93万人といわれています。

PERSOL

2018年の記事と大きく違うのが、この建設分野での人手不足。
2018年の記事では余剰が出る建設業でしたが、この2022年の記事では不足になりそうだという内容です。
職員の高齢化による大量退職が迫っている事も原因のようですが、この4年の間に予測が大きく逆転した事になりそうです。

人手不足が及ぼすデメリット
・労働環境の悪化(残業時間の増加、休暇取得数の減少)
・従業員のはたらきがいや意欲の低下
・能力開発機会の減少
・離職者の増加など
人手不足による事業の縮小や倒産のリスクも懸念されます。「現在はそれほど影響がない」と思っていても、事態が深刻化する前に対策を取ることが重要です。

PERSOL

介護現場では慢性的な人手不足なので、既にここに掲げられているようなデメリットは実感です。
本当に人が足りなくなると何もできなくなりますし、特に管理者やリーダー層については、人手不足で現場業務の比重が増えると2倍3倍で頑張らないとどんどんと仕事が溜まっていく状態です。

そもそも人が足りなくなるのでマネジメントに専念できる状況ではなくなるので、プレイングマネージャーがどうしても増えていくように思いますし、そうなると結構な能力が求められるようになると思います。

ただ、介護保険の改正議論の中で管理者要件の緩和が検討されていますので、この辺りの本当に事務的な内容については一人の管理者が複数拠点を管理するという対策で少しは軽減できそうな気もします。

実際、今日行政からメールで管理者要件緩和に関するアンケートが届いていたので、具体的な管理者業務の洗い出しが進んでいるのかもしれませんね。

人手不足の対応策
1.働き方改革や人事制度の見直し
2.学び直し制度の実施、副業の許可
3.業務の抜本的見直し、ロボットやアウトソーシングの活用

まずは自社でできることとして、人を魅きつける魅力的な職場づくり、また人員は少なくてもしっかりと業務を回していけるような仕組みの構築から、取り組んでいきましょう。

PERSOL

人手不足の対応策ですが、よく見る内容です。
単純に、これまでと同じ事をしていたら生き残れませんよ、という内容かと思います。

足りない人手をいつまでも欲しい欲しいと言っていても限度がありますので、足りない人手の中で何ができるのか、何を活用すれば代替えできるのか等を検討する必要があります。

ちなみに訪問介護事業所を立ち上げる準備をしていますが、知り合いの紹介で会計事務所を紹介してもらって月10000円で経理全般を委託する事ができました。
経理の事務職を一人雇う人件費と比べたら雲泥の差です。
アウトソーシングは本当に有用ですね。

働き方改革は、生産性向上に結びつくとともに、人材が集まり、離れていかない職場づくりの一歩になります。従業員全体の制度を見直すことも大切ですが、特にフォーカスしたいのが女性やシニア層のはたらきやすい環境づくりです。

中小企業庁の調査によれば、1995年から生産年齢人口が減少し続けているにもかかわらず、労働力人口はさほど減っていません。これには、65歳以上のシニア、そして女性の労働の参加率上昇が関係しています。

PERSOL
【出典】中小企業庁「中小企業白書 2018」(PERSOLより)

女性や高齢者の雇用が進んでいるようですね。
生産年齢人口が減っていくので、労働力人口も減っていると思ってましたが、横ばいか微増傾向ですのでこういう取り組みは全体では進んでいるようですね。

女性の場合は出産などのライフイベントに伴い離職を余儀なくされたり、シニアの場合は体力的に「短時間での雇用」を希望してもそれを許容してくれる仕事に就けなかったりなど、はたらきたくても整備が整っていない環境のためにはたらけない人が多くいます。

つまり、フルタイム以外のワークスタイル(産休や育休、時短勤務、復職制度、テレワーク制度など)の許容や長時間労働の改善は、女性、シニア、場合によっては外国人の登用を促進する効果につながり、これまではたらくことのできなかった優秀な人材獲得の可能性を高める原動力になります。

PERSOL

こうしてみると、本当に働き方自体の多様性が求められていて、それをうまく活用できる所が生き残りそうですね。
フルタイムや決まった時間帯での就労にこだわると人材確保が難しくなっていきそうです。

個人的にも、子育て世代の女性をいかに気持ち良く働いてもらえるかどうかが課題とも考えているので、いろいろ自由な発想で検討していきたいなと思います。

時代の移り変わりとともに、社員に求められるスキルや能力は変化していきます。特に近年は変化の速度が速く、変化についていけなくなってしまう、ということも少なくありません。

今いる人材のスキルや能力を十分に引き出すことは、企業にとっても、はたらく本人にとっても、やりがいや意欲の面でメリットがあります。これに役立つのが、「学び直し制度」の検討です。

スキルアップ研修で時代に即した知識や技術を身につけ、既存業務で改めて力を発揮してもらうもいいですし、新たな能力を獲得するための研修を行い、別業務でも力を発揮してもらうのもいいでしょう。本人の適性を考慮しながらの実施は、能力と業務とのミスマッチを減らすことにつながります。

PERSOL

社員に学ぶ機会を与える事も必要ですよね。
自己研鑽に期待するのはリスクが高いと感じています。

また、介護保険改正の議論でも通所から訪問できるサービスが創設されそうだったりするので、やはり柔軟な発想で取り組みを進めたり発想を変えて対応力が向上できるような学習であったり意識改革の機会はあった方がよさそうです。

直接利益を生まないノンコアといえる業務は、外部委託したり、システム化したりすることもおすすめです。経費精算や事務作業などの処理サービスや自動化システムは数多く登場しています。こうした分野から、ロボットやAIを活用したシステムの利用、アウトソーシングサービスの利用を検討するのもよいでしょう。

時間や人手、経費がかかりすぎている作業や工程は、方法を変えるか、勇気を出してやめてみましょう。コストカットは、競争力強化にもつながります 。

PERSOL

介護事業でいくと、やはり経理や人事といった事務的な業務については、収益を上げるわけではないのでそこに費用をかけるのは良くないと思っています。

人材確保も含めて競争力は求められる時代ですので、やはりスリム化すべき所は思い切ってカットしていくなりの対策は必要ですね。

人材獲得は企業の生き残りの生命線ですが、超高齢社会において、数のみに頼っていては、業務はうまく回りません。効率化・省力化、能力のある人材を柔軟に受け入れられる仕組みや新たな能力の獲得を支援する仕組みの構築を両輪で進めることで、人材確保の間口が広がります。そしてその取り組みは、自社を多くの求職者から「選ばれる会社」へと変革することに、結びついていくのです。

PERSOL

人材の質が重要ですね。もっともだと思います。
人手が足りないので誰でもOKで採用している事業所で良い話を聞いたことがありませんので、採用する人材の質というのが、この人手不足の社会の中でますます重要視されていくだろうと思います。

そういう”良い人財”に選んでもらえる職場づくりは本当に重要だと思いました。

介護事業所は、おそらくそこに最も注力しないといけない課題だと思います。

今日は人手不足について、過去出されていた記事と最近の記事を比較して、どうなっているのか見てみようと思いましたが、数値上では変化ない予測でした。

いよいよ本格的に人手不足になっていきます。
現状実績のある活路としては、女性や高齢者の働きやすい職場が生き残れそうな感じですが、その中でも採用する職員の質は非常に重要です。

また、そういう職場である事をどうやって伝えていくのか等、発信力も問われていくと思いました。

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