沈黙営業で契約に至る支店長
外回りから帰ってきて、支店の事務所に入ると、ほぼ同じタイミングで応接室のドアが開き、支店長が出てきた。
支店長は僕を見つけると、
「あぁ、良かった。江藤くん帰ってきた。」
と、ちょっぴり大げさに安堵した様子を見せながら話を続けた。
「年金共済の設計書、作る時間ある?いま、住宅ローンのお客さんで手続きとかは終わったんだけど、少し年金共済の話をしたんだ」
「時間、大丈夫です。金額はどのくらいにしますか?」
「パンフレット渡してあるから、それとおんなじで良いよ」
早速作って印刷。
支店長が
「じゃ、良いかな?」
と、一緒に応接室へ入るように促した。
説明する心の準備ができていなかった、、、
しかし、そのあと、僕は名刺をお渡しして挨拶してからは出番が無かった。
そして、支店長は
「こちらになります」
と、お客様の前に設計書を広げ、
・・・・
下を向いて黙ってしまった。
お客様に説明を、僕がしようと思ったとき、お客様は設計書を両手で持ち、新聞を見るかのように自分で読み始めた。
僕も下を向く。
沈黙・・・・・
3分とか5分近く、長い沈黙が続く・・・・
お客様
「じゃあ、これで」
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