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遠隔転移を有する乳がん ー CDK4/6阻害剤と放射線治療の同時併用の安全性 ー

Visani L et al. Radiother Oncol. 2022. PMID: 36349599


<背景と目的>
・遠隔転移を有するホルモン受容体陽性/HER-2陰性乳がん患者において、CDK4/6阻害剤(cyclin-dependent kinase inhibitor)投与が標準治療となっている。
・今回の研究の目的は放射線治療(RT, radiation therapy)とCDK4/6阻害剤との同時併用の安全性を評価すること。


<対象と方法>
・ヨーロッパの2施設において、CDK4/6阻害剤(± 放射線治療)による治療が行われた患者を後ろ向きに解析した(2017年9月~2020年2月)。
主要評価項目:放射線治療と有害事象(Grade 3以上)との関連性
・副次評価項目:放射線治療と有害事象(any grade)との関連性、CDK4/6阻害剤の減量の頻度、CDK4/6阻害剤の中止率。


<結果>
・132例の女性を解析した。
・57例(43%)、70病変に対して放射線治療が行われていた。
・年齢の中央値は52歳(範囲 32-78歳)。
放射線治療の同時併用と有害事象(グレード3以上)との関連性は認められなかった(p=0.19)
・有害事象(any grade)と放射線治療との関連もみられなかった(p=1.0)。
・CDK4/6阻害剤の減量(p=0.49)や中止(p=0.14)にも放射線治療の関連はみられなかった。
・経過観察期間の中央値18.8ヶ月時点で、無増悪生存率 35%、全生存率 39%。
・放射線治療の施行による無増悪生存(p=0.71)や全生存(p=0.55)への影響を認めなかった。


<結論>
・CDK4/6阻害剤と放射線治療の同時併用による重篤な毒性の増加はみられず、CDK4/6阻害剤の投与への明らかな影響も見られなかった。


<Key words>
・乳がん、CDK4/6阻害剤、パルボシクリブ、イブランス、アベマシクリブ、ベージニオ、放射線治療、同時併用、少数転移




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