なみなみと

とある放射線治療医。

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最近の記事

成人の軟部肉腫に対する緩和照射

Roeder F. Cancers (Basel). 2020. PMID 33153100 ・成人の軟部組織肉腫に対する放射線治療、Review/Expert opinion ・緩和照射 ・切除不能の局所進行性病変または転移を有する軟部組織肉腫(STS)に対する標準治療は組織に基づいた全身療法である。 ・しかしながら、局所病変の進行が抑制できないため、疼痛や局所の合併症のために重篤な症状を呈することも多く、緩和的な放射線治療が適応となる。 ・最近のオーストラリアの調査によ

    • 多発性骨髄腫に対する放射線治療 ー 全身療法との併用 ー

      Oertel M et al. Cancers (Basel). 2023. PMID 37296874 ・後ろ向き研究、ドイツ ・全身療法と放射線治療が同時併用された82例を解析 ・経過観察期間中央値:診断から60ヶ月、放射線治療開始から46.5ヶ月 ・毒性評価期間:放射線治療開始30日前から終了後90日間 ・54例(66%)が非血液毒性を発症 ・グレード I-II 50例(61%)、グレード III-IV 60例(73%) ・血液毒性:放射線治療前 61%、放射線治療期間

      • ネオアジュバント(術前)化学療法を受けた乳がんに対する乳房温存療法 vs. 乳房切除術

        Gwark S et al. Ann Surg Oncol. 2023. PMID: 36577865 ・ネオアジュバント(術前)化学療法が施行された乳がんに対する乳房温存療法と乳房切除術を比較 ・後ろ向き研究(韓国) ・結論:ネオアジュバント(術前)化学療法が行われた乳がんで、乳房温存手術と乳房切除術のいずれも選択肢となる場合には、乳房温存療法(BCS+RT)が好ましい治療法である様子。 <背景と目的> ・早期乳がん患者において、乳房切除術と比較して乳房温存手術(BCS)

        • 食道扁平上皮がんに対する強度変調放射線治療による化学放射線療法に伴う食道の瘻孔形成

          Pao TH et al. PLoS One. 2021. PMID: 33989365 ・食道扁平上皮がんに対する強度変調放射線治療(IMRT)による化学放射線療法に伴う食道の瘻孔形成 ・後ろ向き研究(台湾) ・リスク因子:T4腫瘍、治療前の食道狭窄 <背景> ・食道扁平上皮がん(ESCC)に対する強度変調放射線治療(IMRT)を用いた同時化学放射線療法(CCRT)に伴う食道の瘻孔形成に関する文献はまだ不足している。 ・今回の研究の目的は強度変調放射線治療(IMRT)を用

        成人の軟部肉腫に対する緩和照射

          T4b食道扁平上皮がんに対する化学放射線療法後の食道瘻孔

          Chen B et al. Radiother Oncol. 2021. PMID: 33667583 ・T4b 食道扁平上皮がんに対する化学放射線療法後の食道瘻孔 ・後ろ向き研究(中国) ・食道瘻孔形成のリスク因子:潰瘍型および気管/気管支への浸潤 <背景と目的> ・T4bの食道扁平上皮がん(ESCC)において根治的化学放射線療法(CRT)は推奨される治療法ではあるものの、治療効果や合併症に関しては不明な点も多い。 ・局所進行食道扁平上皮がん(ESCC)の治療の際、食道の

          T4b食道扁平上皮がんに対する化学放射線療法後の食道瘻孔

          化学放射線療法により治療されたT4食道がん患者の瘻孔形成解析

          Taniyama TK et al. Esophagus. 2020. PMID: 31506805 ・化学放射線療法により治療されたT4食道がん患者の瘻孔形成の解析 ・後ろ向き研究(日本) ・リスク因子:CTの軸位断像における腫瘍サイズ <背景と目的> ・瘻孔形成はT4(周囲臓器への浸潤)食道がんの合併症の1つとして知られている。 ・T4食道がんに対する標準治療は化学放射線療法であるが、化学放射線療法に伴う瘻孔形成に関する詳細なデータは限られている。 ・特に、T4食道がん

          化学放射線療法により治療されたT4食道がん患者の瘻孔形成解析

          胸部食道がんに対する化学放射線療法に伴う食道の瘻孔形成のリスク因子

          Kawakami T et al. BMC Cancer. 2028. PMID: 29776344 ・T4b 胸部食道扁平上皮がんに対する化学放射線療法に伴う食道の瘻孔形成(esophageal fistula)のリスク因子 ・後ろ向き研究(日本、静岡がんセンター) ・リスク因子:全周性病変、CRP値上昇(1.00 mg/dL以上) <背景> ・遠隔転移を伴わない切除不能な食道扁平上皮がん(ESCC)に対する標準治療は根治的な化学放射線療法(dCRT)。 ・根治的な化学放

          胸部食道がんに対する化学放射線療法に伴う食道の瘻孔形成のリスク因子

          食道がんに対する化学放射線療法に伴う食道の瘻孔形成のリスク因子 ー JCOG0303の補足的解析 ー

          Tsushima T et al. Medicine (Baltimore). 2016. PMID: 27196482 ・胸部食道がんに対する化学放射線療法による食道の瘻孔形成のリスク因子 ・後ろ向き研究(日本)/ JCOG0303試験の補足的解析 ・食道の瘻孔形成のリスク因子:食道狭窄(esophageal stenosis) <背景> ・食道の瘻孔形成は局所進行食道がんに対する化学放射線療法(CRT)を受けた患者における重要な有害事象。 ・しかしながら化学放射線療法を

          食道がんに対する化学放射線療法に伴う食道の瘻孔形成のリスク因子 ー JCOG0303の補足的解析 ー

          前立腺がんの総腸骨リンパ節転移は小骨盤内のみリンパ節転移と予後が異なるのか?

          Chopade P et al. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2022. PMID: 35870708 ・長期ホルモン療法と放射線治療により治療が行われた総腸骨リンパ転移(M1a)と小骨盤内のみのリンパ節転移(cN1)陽性前立腺がんの治療成績比較 ・前向き登録データベースの解析研究(インド) <目的> ・前立腺がんでは、総腸骨リンパ節への転移は(小数個の)遠隔転移としてステージングされる(M1a)。 ・根治的治療が行われた小骨盤内リンパ節転移

          前立腺がんの総腸骨リンパ節転移は小骨盤内のみリンパ節転移と予後が異なるのか?

          領域リンパ節転移陽性の前立腺がんに対するIMRTによる全骨盤照射

          Nakamura K et al. Cancer Med. 2023. PMID: 36536528 ・領域リンパ節転移陽性の前立腺がんに対する強度変調放射線治療(IMRT)とホルモン療法(内分泌療法)併用治療の10年治療成績の報告。 ・後ろ向き研究(日本) <背景> ・骨盤部リンパ節転移陽性の前立腺がんに対する治療は難しく、議論の的となっている。 ・今回、標的内同時ブースト(SIB)を用いた強度変調放射線治療(IMRT)による全骨盤照射と内分泌療法(ADT)の併用治療の治

          領域リンパ節転移陽性の前立腺がんに対するIMRTによる全骨盤照射

          リンパ節転移陽性の前立腺がんに対する放射線治療は治療成績を改善するか?

          Elumalai T et al. Radiother Oncol. 2023. PMID: 37330057 ・多施設共同後ろ向き研究(英国) <目的> ・さまざまな治療法で加療された遠隔転移のないリンパ節転移陽性(cN1M0)前立腺がんの治療成績を評価すること。 <対象と方法> ・対象:2011年から2019年、英国の4施設にて治療をうけた、画像的にcN1M0と診断された前立腺がんの男性。 ・主要評価項目:生化学的無増悪生存(bPFS)、画像的無増悪生存(rPFS)、

          リンパ節転移陽性の前立腺がんに対する放射線治療は治療成績を改善するか?

          肛門がんに対するS-1/マイトマイシンC併用化学放射線療法 ー JCOG0903 ー

          Ito Y et al. Int J Clin Oncol. 2023. PMID: 37286878 ・肛門管扁平上皮がんに対するS-1/マイトマイシンC併用化学放射線療法 ・第1/2相試験(JCOG0903) <背景と目的> ・II期/III期の肛門管扁平上皮がん(SCCA)に対する標準治療は5-FUとマイトマイシンC(MMC)併用の根治的化学放射線療法である。 ・今回、肛門管扁平上皮がん(SCCA)に対するS-1/マイトマイシンC(MMC)併用化学放射線療法における

          肛門がんに対するS-1/マイトマイシンC併用化学放射線療法 ー JCOG0903 ー

          肛門がんに対する化学放射線療法 ー JROSG 10-2 ー

          Nemoto K et al. J Radiat Res. 2023. PMID: 36280895 <目的> ・今回の研究では、肛門管扁平上皮がん(SCCAC)に対する化学放射線療法の有効性を評価した。 <対象と方法> ・肛門管扁平上皮がん患者(T1-4N0-3M0) ・5-FU(800 mg/m2/day, 96時間点滴)とマイトマイシンC(MMC, 10 mg/m2 ボーラス投与)を併用 ・放射線治療:3次元原体照射(3D-CRT)または強度変調放射線治療(IMRT

          肛門がんに対する化学放射線療法 ー JROSG 10-2 ー

          進行期肝細胞がんに対する免疫チェックポイント阻害薬と血管新生阻害薬の併用へ放射線治療を追加することは治療成績の改善につながるか?

          Ning C et al. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2023. PMID: 37433375 <背景と目的> ・進行肝細胞がん(HCC)患者に対する免疫チェックポイント阻害薬(ICI)と血管新生阻害薬の併用の有効性には限界がある。 ・全身療法と放射線治療(RT)を併用することによりこの問題を克服できる可能性がある。 ・今回、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)と血管新生阻害薬の併用が行われた進行肝細胞がん(HCC)患者を対象として、放射線

          進行期肝細胞がんに対する免疫チェックポイント阻害薬と血管新生阻害薬の併用へ放射線治療を追加することは治療成績の改善につながるか?

          膠芽腫に対する術後化学放射線療法 ー 標的内同時ブースト(SIB)による線量増加は治療成績を改善するか? ー

          Laprie A et al. Neuro Oncol. 2023. PMID: 37417948 <背景と目的> ・膠芽腫(GBM)では標準的な60Gyの化学放射線療法後に再発がみられることが多い。 ・MRS (magnetic resonance spectroscopic imaging)により再発部位を予測できるため、新規に診断された膠芽腫(GBM)を対象としてMRS画像を基にした線量増加が全生存(OS)を改善できるかを解析した。 <対象と方法> ・多施設共同第3

          膠芽腫に対する術後化学放射線療法 ー 標的内同時ブースト(SIB)による線量増加は治療成績を改善するか? ー

          早期声門がんに対する放射線治療 ー 寡分割照射 vs. 通常分割照射 ー

          Kodaira T et al. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2023. PMID: 37414261 <背景> ・JCOG0701試験は、多施設共同第3相ランダム化比較試験で、早期声門がん(GC)に対する通常分割照射(SF)に対する加速照射/寡分割照射(Ax)の非劣性証明試験で、試験の主要結果は以前に報告されている。 ・主要結果においては、通常分割照射(SF)と比較して、加速照射(Ax)の3年無増悪生存と毒性は同様の結果であったが、統計学的

          早期声門がんに対する放射線治療 ー 寡分割照射 vs. 通常分割照射 ー