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【映画感想】主人公の変化よりも寧ろ変化しなかったものに惹かれる 映画『ムーンライト』

この映画は大学の友達が勧めてくれました。

自分ではいろいろなジャンルの映画を観ているつもりなんですが、こういった人間ドラマ的な作品はあまり観てこなかった気がします。

興味の湧くジャンルがまた一つ増えました^^

この記事は映画『ムーンライト』のネタバレを含みます。ご注意下さい。

 

あらすじ

マイアミの貧困地域で暮らす内気な少年シャロンは、学校では「リトル(チビ)」と呼ばれていじめられ、家庭では麻薬常習者の母親ポーラから育児放棄されていた。そんなシャロンに優しく接してくれるのは、近所に住む麻薬ディーラーのフアン夫妻と、唯一の男友達であるケヴィンだけ。やがてシャロンは、ケヴィンに対して友情以上の思いを抱くようになるが、自分が暮らすコミュニティではこの感情が決して受け入れてもらえないことに気づき、誰にも思いを打ち明けられずにいた。そんな中、ある事件が起こり……。

リトル、シャロン、ブラック

本作はシャロンの人生を追った3つの章に分かれています。
年齢で区切られていますが、それぞれの名前に応じたエピソードで区切ってあるようにも感じました。

周りからいじめられて母親にも愛してもらえないリトル

いじめっ子に反撃して自分を主張したシャロン

ケヴィンと再会して昔のように戻れたブラック

章ごとの印象はかなり違いました。

リトル(シャロン)

『リトル』はフアンも大きく関わってきて、売人といじめられっ子のハートフルストーリーのように感じます。

シャロン(シャロン)

『シャロン』ではいじめと家庭の問題で重苦しい雰囲気が漂っていて、『タクシードライバー』や『JOKER』のような主人公が耐え切れなくなる過程を観れた気がします。

ブラック(シャロン)

『ブラック』はケヴィンとのラブロマンス要素少々とこれまでの総決算といった感じです。
『シャロン』から『ブラック』までの出来事を振り返ったり自分達の人生について話したり、この映画で感情が動く部分や何かを受け取る部分は概ねこの章に集約されていました。
ラストだから当たり前と思うかもしれませんが、本作は章ごとに特色がある分なおさら際立って観えます。

変わったものと変わらなかったもの

章ごとに印象や年齢、舞台(学校とか仕事とか)が変わります。

特に『ブラック』のシャロンはほぼ別人でした…
ケヴィンも驚いていたように、優しそうだった昔のシャロンからは全く想像できない道の踏み外し方で…;;
フアンもシャロンと同じように、なりたくて売人になった訳ではなかったんじゃないでしょうか。

ブルーは名前じゃない

ここまでこの映画で変わるものを挙げてきたんですが、逆に変わらなかったものが一つだけあったと思っています。

それがゲイというシャロンの特徴です。

フアンに「周りに決めさせるな」と言われた時から、ずっとこのアイデンティティだけは持っていて変化しなかったんだと思います。

この「変わらないこと」こそ、本作の中で重要だったんじゃないでしょうか。

どうして少年院時代を描かなかったのか?

シャロンの変化、成長を描くなら、この時代の描写は必須のはずです。

その描写を省いていきなり変わったシャロンを観せたのは、観客にシャロンの変化を強く印象づけるため、そしてケヴィンとのやりとりで彼のゲイというアイデンティティは変わっていなかったことを強調するためなんじゃないでしょうか。

頼り無さそうに観えたリトルも、実は自分のアイデンティティを他人に左右されない強い人間だったんだと思います。

最後に

映像の構成や一つ一つのセリフを深読みし過ぎて回りくどい感じ方をした気もします…

もう少し楽に構えて観ても良かったかもな…と、観終わってから後悔しています笑

最後まで読んで頂きありがとうございました!!

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