【映画感想】真面目な人が損をする? 映画『タクシードライバー』
この映画自体は『JOKER』に大きく影響しているということで初めて知りました。昔の映画は画質の粗さもあってなかなか手を出しづらいんですが、観て良かったと思える作品でした。
あらすじ
『JOKER』との共通点
映画『JOKER』と重なる部分がたくさんありました。特に仕事仲間から銃を勧められるシーンはモロ被りですし、光の当て方なのか単純に似ているのか分かりませんが、トラビスとアーサーの顔が似ているという印象を受けました。
ロバート・デ・ニーロ×マーティン・スコセッシ
温厚そうな運転手の一面とそうでない暴力的な面というのをロバート・デ・ニーロが演じ、中盤までその変化を淡々と映し続けます。マーティン・スコセッシ監督の作品は『アイリッシュマン』ぐらいしか観たことがないんですが、日常を撮るのが抜群に上手いと感じました。観客もそのシーンを通して変化の少ない日常を追体験、フラストレーションを共有できます。音楽もいい仕事してました。
トラビスの矛盾
トラビスは議員に「この町のゴミを掃除してほしい」と言います。タクシードライバーとして町の暗い部分や人の悪意を何度も見せられたわけですから、こう思うのも仕方ないでしょう。ただ、そういった話をした直後に、助けを求める女性を見捨てて賄賂を受け取ります。ここに彼の矛盾があります。日記に書くほど日ごろから嫌悪しているのに、その実自分も加担しているのです。彼の暴力は自己の矛盾に答えを出すためのものだったんじゃないでしょうか。
なぜトラビスだったのか?
トラビスがモヒカンヘアーで暴れまくるようになってしまったのは、彼が真面目過ぎたからだと思います。(アイリスにも指摘されている。)他の人なら見て見ぬふりをする社会や人の暗い部分を無視できず、何とかしたいという思いが肥大化していきます。暗い部分を解決するために一般的には選挙などで政治に関わっていきますが、彼は政治について詳しくない(思考を放棄している)ので暴力という直接的な手段に頼ったのではないでしょうか。
選択肢を狭めないためにも教育が重要なのだと思います。
襲撃の意味
アイリスを救ったのは自分の矛盾を正すため、純粋に助けたかったためだと思うのですが、議員を暗殺しようとしたのはなぜなのか分かりません。ただ、そこは理解しなくていいのかなと思います。「社会は時に理解できない思考を持つ人間を生み出してしまう。」ということを理解すれば、この映画を100%楽しめたことになるはずです。
最後に
落ち着いた日常パートとその延長線上で淡々と映されていくバイオレンス描写はこの監督らしいと個人的に思います。
共通点を見つけるためにもう一回『JOKER』を観たくなりました。
最後まで読んで頂きありがとうございました!!
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