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とある恋 第二話

ずっと曇り空の中で
生きているようだった
あなたを見つけるまでは
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32歳になっていた
陽気な私は隠れてじっと身を隠していた
高校生の頃に出会った銀色夏生の本を読み返したり苦しさを自分で紙に書き出したりして涙して。。
自分なりにどうにか保とうとしていた頃

彼を見つけた
インターネットの箱の中に彼がいた
まるで誰かに「この人だよ」って言われてるような感覚だった

ぽつんと独りで泣いているような人だった
繊細でユーモアを持って敬意を持って他人と接する感じが好きだった。

当時掲示板の中で好きな作家の話題や他愛もない話がBBSで語られていた。
そこに彼も時々書き込みをしていた。
書き込みにはハンドルネームがありリンクが貼ってあった。飛んでみると彼はHPを持っていた。
文章を載せたり赤裸々に日記を書いて公開していた。
その日から彼を追いかけるような毎日になった。
過去の日記を何度も読み想像したりした
BBSの書き込みを見つけてはニマニマして
他の誰かとのやり取りにヤキモキして
一日の最後に彼の日記を読んでは切なくて。。

いわゆる虜になったのだ。

顔も知らない年齢も本当の名前も知らない男性を文字だけで好きになっていった。

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