見出し画像

今回のトレパク騒動の問題点とは

どうも。とある地方の理系院卒です。

 最近、VTuber界隈で著作権に関する騒動が続いていますが、今回はいわゆる「トレパク」について取り上げたいと思います。

騒動について

 今回の騒動は、ホロライブ所属の「桃鈴ねね」さんが「自作イラスト」と称したものに「トレパク」が発覚し、運営のカバー株式会社と本人が謝罪したことによるものです。このことについて、ネット上では様々な議論がされているところです。

「トレパク」とは?

 そもそもですが、「トレパク」とは「トレース(トレス)によるパクリ」の略称を指します。

  この「トレース(トレス)」は「痕跡、足跡」という意味の「trace」が由来であり、転じて、製図やイラストなどにおいては、元にする図を何らかの方法を用いて透かせ、それをなぞる事によって写しとる技法のことを指すようになりました(ニコニコ大百科より参照)。余談ですが、某アニメの「トレース・オン」もこのトレースです。

 よく、何か有名なイラストをまねようとする際に、イラストの上に半透明な紙(トレーシングペーパー)を乗せ、輪郭をなぞることがあると思いますが、あれもトレースの1つです。

 このトレースという技法ですが、有名画家・イラストレーターの構図を学ぶことができるので、絵を上達させるうえでは有効なものです

「トレース」と「著作権」

 近年では、コンピューター上でもトレースが可能となり、この技法を使用しやすくなりました。

 ただ、当たり前ですが、トレースによって制作された絵は、構図や人物の表情・姿勢がトレース元の絵と一致するので、元の絵への著作権侵害となる可能性があります。ですので、勉強用や自身のみで楽しむ分には問題ないですし、パロディネタとしてこの技法が用いられることもありますが、「○○をトレースして作りました」と申告せずに自作品として公開すれば様々な問題が発生してしまいます。

 しかし、著作権侵害は親告罪であり、権利者が訴えない限りは罪となりません。

 ですので、トレパク騒動の議論のほとんどは「ルール的にはグレーだが、モラル的にどうか」、または「そもそもそんなグレーなことを平気でしていいのか」ということが論点の中心になっています。

 トレパク騒動の例として、「ゆのみP」さんが起こした騒動が有名だと思います。また、イラストレーターの古塔つみさんの騒動も記憶に新しいことでしょう。

本騒動の問題点

さて、今回の騒動ですが、主に以下の3点が問題だったと言えるでしょう。

①トレースであることを公表しなかった
②トレース作品を商用利用している
③誠意のある謝罪が本人から無かった

 まず、①について。前述のとおり、トレパク騒動は①によって発生します。権利者への確認やトレースであることの申告を怠り、「自主制作しました」と言ってしまえば、完全オリジナルで作成したという意思表示をしたと受け取れられても仕方がないからです。

 ②についてですが、桃鈴ねねさんのトレース疑惑があった絵の中には、自身のオリジナルソングのジャケットやグッズがありました。趣味で書いたとしてもアウトになってしまうこともあるのに、いわんや商品に使用するのは印象が良くありません。極論を言えば、「人の絵をパクって稼ぐ」ということですから。

そして、この騒動が沈静化しないのは③によるものでしょう。運営会社は「トレースがありました申し訳ございません。」と謝罪した一方、桃鈴ねねさんの配信では、「好きなイラストレーターの絵を思い浮かべて描いていたので似てしまった」と釈明しました。

 かつては「黙認ベース」という言葉を漏らしてしまうくらいに著作権への意識が甘かったカバーですが、最近では配信に使用するゲームの許諾申請をしっかりするようになり、逆に所属ライバーのイラストが著作権侵害をされたとして、様々な物申す系・炎上系VTuberをYouTubeから追い出してきました。

 そのような背景もあり、運営側はトレースの事実を認めたわけですが、言い訳ともとれるねねさん本人のこの発言には、ファンでも不満に思う方がいたほどです。

まとめ

 著作権というものについての考え方は人それぞれで、捉え方も変わってきます。運営が認めた以上は、それに沿った謝罪をすべきでした。ねねさんからは、今一度、誠意のある謝罪が求められます。

 ここまで様々述べましたが、かく言う私も、著作権をちゃんと守れているわけではありません。私のnoteはあくまで趣味であり、商用目的ではありませんが、恐らく誰かに訴えられれば、記事の変更・削除を余儀なくされることがあるだろうと思っています。今回の問題をきっかけに、私も著作権には気を付けようと思う今日この頃です。


それでは。