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第16回 これだけ!極限1(微分積分)

前回までは線形代数についていろいろと学んできました。まだ学んでない方は、ぜひ下のリンクから学んでみましょう!

この回からは微分積分についてざっくり学んでいきましょう。今回は極限とはなんぞやというお話です。

1.極限とは

4つ覚えましょう。

(1)実数xが定数aに限りなく近づいたとき、関数f(x)が一定値bに近づくことを、

$$
\lim\limits_{x→a}f(x)=b
$$

と書き、「x→aのときf(x)はbに収束する」と表現し、bはx→aのときのf(x)の$${\bold{極限値}}$$といいます。

(2)実数xが定数aに限りなく近づいたとき、関数f(x)がどこまでも大きな値となるとき、

$$
\lim\limits_{x→a}f(x)=\infty
$$

と書き、「x→aのときf(x)は無限大に発散する」と表現します。

(3)実数xが定数aに限りなく近づいたとき、関数f(x)がどこまでも大きな値となるとき、

$$
\lim\limits_{x→a}f(x)=-\infty
$$

と書き、「x→aのときf(x)は負の無限大に発散する」と表現します。

(4)実数xがどこまでも大きな値となるとき、関数f(x)が一定値bに近づくことを、

$$
\lim\limits_{x→\infty}f(x)=b
$$

と書き、「x→$${\infty}$$のときf(x)はbに収束する」と表現し、bはx→$${\infty}$$のときのf(x)の$${\bold{極限値}}$$といいます。

つまり、f(x)について、xがある値に近づくときにf(x)がある一定の有限の値に近づくとき、その有限の値を「極限(値)」というわけです。
一方で、f(x)が一定の値に収束せず、でたらめに大きい正の値(or負の値)となるときを「発散する」とよびます。ちなみに、f(x)が一定に定まらまいものを「振動する」といいます。まずは極限と発散という言葉の意味を覚えましょう。


2.極限の例

いくつかの例を紹介します。

$$
\lim\limits_{x→0}\frac{x+1}{x^2+3}=\frac{1}{3}
$$

$$
\lim\limits_{x→\infty}\frac{1}{x}=0
$$

$$
\lim\limits_{x→\infty}e^x=\infty
$$

$$
\lim\limits_{x→-\infty}e^x=0
$$

$$
\lim\limits_{x→\pi}\cos{x}=-1
$$

では次の極限はどうなるでしょう?

$$
\lim\limits_{x→\infty}\sqrt{x^2+x+1}-x
$$

$${\sqrt{x^2+x+1}}$$は$${\infty}$$、$${x}$$も$${\infty}$$になるので、$${\infty-\infty}$$は…?とても大きい数からとても大きい数を引く?よくわかりませんね。


3.不定形の解き方

$$
\lim\limits_{x→\infty}\sqrt{x^2+x+1}-x
$$

のように一見極限が定まらないような形を「不定形」と呼んだりします。この不定形には様々な種類がありますが、これらをどうすれば解けるようになるのか、簡単なものから一つずつ見ていきましょう。

(1)$${\frac{\infty}{\infty}}$$型

$$
\lim\limits_{x→\infty}\frac{x+1}{x+3}
$$

このように分母も分子も多項式で無限になる形、よく出てきます。
こういう場合は分子の最高次の項で分母分子をそれぞれ割ります。

上の例の場合、分子の最高次の項は$${x}$$です。つまり、

$$
\lim\limits_{x→\infty}\frac{x+1}{x+3}=\lim\limits_{x→\infty}\frac{1+\frac{1}{x}}{1+\frac{3}{x}}
$$

ここで

$$
\lim\limits_{x→\infty}\frac{1}{x}=0
$$

このような形(反比例のような形)の関数は0に収束するので、

$$
\lim\limits_{x→\infty}\frac{x+1}{x+3}=\lim\limits_{x→\infty}\frac{1+\frac{1}{x}}{1+\frac{3}{x}}=1
$$

と求まりますね。

(2)$${\infty-\infty}$$型

$$
\lim\limits_{x→\infty}\sqrt{x^2+x+1}-x
$$

このような形は有理化することで$${\frac{\infty}{\infty}}$$型に変形することが攻略のカギとなります。上の式を有理化すると、

$$
\lim\limits_{x→\infty}\sqrt{x^2+x+1}-x=\lim\limits_{x→\infty}(\sqrt{x^2+x+1}-x)\frac{\sqrt{x^2+x+1}+x}{\sqrt{x^2+x+1}+x}
\\=\lim\limits_{x→\infty}\frac{x+1}{\sqrt{x^2+x+1}+x}
$$

これで$${\frac{\infty}{\infty}}$$型に変形することができました。後は、

$$
\lim\limits_{x→\infty}\sqrt{x^2+x+1}-x=\lim\limits_{x→\infty}\frac{x+1}{\sqrt{x^2+x+1}+x}\\=\lim\limits_{x→\infty}\frac{1+\frac{1}{x}}{\sqrt{1+\frac{1}{x}+\frac{1}{x^2}}+1}=\frac{1}{2}
$$

と求まります。

(3)$${\frac{0}{0}}$$型

$$
\lim\limits_{x→1}\frac{x^2+x-2}{2x^2-x-1}
$$

分母と分子が多項式でどちらも0に収束します。このような形は因数分解してみましょう。

$$
\lim\limits_{x→1}\frac{x^2+x-2}{2x^2-x-1}=\lim\limits_{x→1}\frac{(x+2)(x-1)}{(2x+1)(x-1)}\\=\lim\limits_{x→1}\frac{x+2}{2x+1}=1
$$

と求めることができます。



4.宿題

次の極限を求めましょう。答えは次回の冒頭で!

(1)

$$
\lim\limits_{x→\infty}\frac{3^x-2^x}{5^x-4^x}
$$

(2)

$$
\lim\limits_{x→1}\frac{x^n-1}{x-1}   (nは任意の整数)
$$


5.もっと宿題!

さっきの宿題簡単すぎだよ!という方、こちらも挑戦してみてください。

(1)

$$
\lim\limits_{x→0}\frac{\sin x}{x}
$$

(2)

$$
\lim\limits_{x→0}\frac{1-\cos x}{x^2}
$$

(3)

$$
\lim\limits_{x→\infty}x\tan(\frac{1}{x})
$$

(4)

$$
\lim\limits_{x→\infty}(1-\frac{1}{x})^x
$$


まとめ

今回は極限とは何か?簡単な関数の極限の求め方を解説しました。次回はもっと複雑な関数の極限の求め方を解説します。極限はこの先に学ぶ微分を理解するために必要ですので、しっかり学習しましょう!

次回はこちら↓

参考文献はこちら。ぜひ手に取って勉強してみてください。


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