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イノベーションのジレンマが何と何の板挟みなのかを解説

・はじめに

大学の授業でイノベーションのジレンマについて学んだ。「イノベーションのジレンマとは何か?」と聞かれたら、「既存企業が顧客の声に耳を傾け、持続的イノベーションをしていると、顧客が求める要求水準を超えてしまう。その間に、新製品が持続的イノベーションを重ねローエンド顧客の求める要求水準を満たす。すると、既存製品より性能は劣るものの、価格や使いやすさなどの理由から、新製品に顧客がのりかえてしまう。結果として、既存企業が新製品に対応できず市場から撤退する」と答える人が多いと思う。確かにこれはイノベーションのジレンマを説明している。しかし、「ジレンマ」とは板挟みのことである。この説明では、何と何の板挟みかを説明していない。

「どの主体(企業)が板挟みに陥ってしまうのか?」「なぜ板挟みになるのか?」この疑問に対して私が調べたことを記載する。また、イノベーションのジレンマが何かを最低限知っていることを前提に話を進める。

・板挟みされる主体は何か?

既存企業である。

・何と何の板挟みなのか?

既存製品と新製品との板挟みである。

・なぜ板挟みが起こるのか?

既存企業が、既存製品市場と新製品市場に板挟みされることがジレンマであると述べた。その原因を解説していく。

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上記の図を見ていただきたい。既に新興企業が、ローエンド市場の要求水準を越してしまい、既存企業もハイエンド市場の要求水準を越している状態である。

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これに対して、上記の図のように既存企業が新製品市場の参入を決定したとする。すると2つの問題が出てくる。

1つ目は、新製品市場に対して既存企業は後発であることである。つまり、先行企業を模倣できないかぎり、その市場で利益をあげることはできない。しかも、先行企業は既に先行者優位の状態にあり、経験曲線効果から生産にかかるコストをさらに下げていく可能性がある。なので、既存企業も本格的に参入しようとするとかなりの経営資源を割り当てる必要がある。そこで2つ目の問題が生じる。

2つ目は、既存企業が本格的に新製品市場に参入しようとすると、既存製品を支持していた顧客との信頼関係を破壊するリスクがある。既存企業は既存製品のハイエンド市場の要求水準を満たし続ける必要がある。

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今度は、上記の図のように既存製品市場にいつづけたとする。しかし、もうハイエンド市場の要求水準は満たしてしまっている。なので、これ以上既存製品を開発しても意味がない。

つまり、既存企業は、既存製品市場にいても新興企業に勝ち目がなく、新製品市場に行こうとしても乗り越えるべき障壁が多くなかなか参入できないこと。これがジレンマの正体である。

・終わりに

イノベーションのジレンマについて、知っている人も多いと思う。ただ、何と何の板挟みなのか、しっかりと説明できる人は少ないと思う。この記事がイノベーションのジレンマのさらなる理解に繋がれば幸いである。

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