見出し画像

地方税交付金で炎上する日本

下の図を見ていただきたい。日本全国の行政区分の何について表す地図なのか、お分かりになるだろうか。

画像1

以下のサイトからの転載であるが、一人当たりの地方交付税額を6段階に分けて記載したものだ。
拡大して詳細が見られるので、是非リンクを辿ってご自身が住まわれる地域をご確認いただきたい。

灰色が不交付団体、青1万円~、水色7万~、黄色12万~、オレンジ22万、~、赤が最も多く37~210万となる。

全体の傾向として、不交付~水色がはっきりと太平洋ベルト(※1)に集中しており、そのベルトを挟む南北の地域から、東北・北海道にかけて赤色に染まっているのが見て取れる。

(※1)茨城県から大分県までを結ぶ、一連の工業地帯・工業地域

特に北海道で、一人当たりの交付税が高い原因は言うまでもなく低い人口密度に起因するが、それと共に自治体財政が苦しい証拠でもある。

見方を変えると、自治体の財政状態に対して、居住のコストが高く、住民サービスの効率が悪い事を表しているとも言い換えられる。

これから少子高齢化により税収が先細りする自治体で、その様な地方は益々負担が大きくなる事は確実だ。

現に2007年に財政破綻をした北海道夕張市(※2)では、市営住宅の多くが歯抜けになっており、ほぼもぬけの殻となった老朽化マンションが、ごく少数の住民のために莫大な税金を使って修繕や水道運営の維持を行なっている状況となっている。

(※2)2007年(平成19年)3月6日 財政再建団体(現在の財政再生団体)に指定

画像3

(Pixabay License/商用利用無料 )

サービス効率化のため転居してほしい行政と、住み慣れた我が家を離れたくない住民との間で熾烈な軋轢が生まれている。

住民の代表によると、住み慣れた我が家からの転居を迫られ、都心部へ引っ越したご老人が数ヶ月後に病気で無くなると言う事があった。

勿論、引っ越しが全ての原因ではないかもしれないが、無くなった方の気持ちとしては、慣れた住まいで最後を過ごしたかったのだろうと想像する事は難しくない。

これが、財政破綻の現実だ。

関連して、以下の書籍から引用する。

住民は言う、自分たちは茹でガエルだ、と。
「いつか、いつかはどうにかしなければならないと思いながら、結局みんな危機意識を持っていなかった。」

地域住民にとって数少ない頼れる救い手の筈の、地域再生の学者も最早予断を許さない状況に追い詰められている事を認め始める。

地域活性化をテーマにしてきた地域研究者の中では、変化が生まれているという。
これまでタブーとされてきた集落消滅や地域縮小と向き合い議論をしていこうという変化だ。

もう、再生や復興という選択肢は無い程まで追い込まれている
そこに最善の解はなく、誰にとっても苦しい選択を選ばざるを得ず、何かを捨て、犠牲にせねば更なる深刻な悲劇を招く。

その予備軍が赤い地域として日本各地に浮かび上がっている。

あなたにも聞こえるだろうか。
青々とした木々に覆われた日本が地域崩壊という逃げ場がない大火災に襲われ、その火の手に飲み込まれてゆく住民たちの叫び声が。
私にはそのような地図に見える。

画像2

(Pixabay License/商用利用無料 )

国が一律的に補助金を与え、地方を競わせる明治時代からの中央集権ではもはや解決できない問題であることは、以下の、地方活性化センター常務理事 椎川氏の講演レポートで述べたとおりだ。

それでもまだ、今まで通り、先送り・見て見ぬ振りを続けるのか。

正に今、私達が決断を迫られている。

冒頭の写真は、国宝・浄瑠璃寺蔵、国立博物館展示の木造四天王立像のうち広目天(こうもくてん)という仏神だ。
 その名は「通常ならざる目を持つ者」 。つまり千里の遠くをも見通す者という意味になる。
彼の目に見えている未来を、あなたも直視する勇気はあるか。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?