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あれになろう、これになろう

吉川英治の小説『宮本武蔵』より

「あれになろう、これになろうと焦るより、富士のように黙って、自分を動かないものに作り上げろ。世間に媚びずに世間から仰がれるようになれば、自然と自分の値うちを世の人がきめてくれる」


人生を山登りに例えることはよくある。

遠くに魅力的な山があり、近づいてみると意外と高いことがわかる。登ってみるが、なかなかしんどい。

後ろを振り返ると、また違う魅力をもった山が見える。そちらの山に行ってみると、これは登れそうだと登り始めるが、途中でやはりかなりしんどい道だということがわかる。

横を見ると、比較的緩やかな山が見えたので、
次はそちらに登ってみようとふらふら寄っていく。近づいてるみると、やはり険しそな道で、登ることも億劫になってくる。

そうしてやっと気付くのだ。
山は他人の物で、自分の山をコツコツ築き上げるべきだったのだと。

あれになろう、これになろうと焦るより、自分を動かないものに。

ああ、人生は厳しい厳しい。人間は迷う迷う。

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