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ガラスのうさぎ

高木敏子さんの『ガラスのうさぎ』を読了した。
筆者少女時代の戦争体験をありのまま書き綴った本書、
子どもにも読めるように簡単な言葉で書き綴っているからこそ、
真っ直ぐ伝わってくる悲惨さがあった。

母と妹二人が行方不明になった直後、
父を機銃掃射で失った。

「わたしはほんとうに、ひとりぼっちになってしまった。戦争って、人と人との殺しあいではないか。でもわたしは、誰も殺していない。やっぱり、戦争なんかはじめるのがいけないのだ。だれがはじめたのか。」


8月15日の玉音放送、直接聞くことは出来ず、
人づてに日本が負けた事を知らされた。

「どうせ負けるなら、もっと早く負けたといえばいいのに。東京があんなに空襲されないうちに、やめればよかったのよ。日本国じゅう空襲されたんでしょう。広島や長崎に新型爆弾が落とされないうちにやめておけば、どれだけの人が助かったか知れない。うちのお父さんやお母さんたちだって死ななかったし、家だって焼かれずにすんだはず。軍隊のえらい人たち、どうかしているわ。降参だなんて、ばかにしている!」
 

戦争なんて早く終わってほしいという気持ちもありつつ、
負けるなら何のために親兄弟が死んだのか、何のために苦しい生活を送ってきたのか、という気持ち、

戦争に振り回された人のやるせなさが、伝わってきた。

こういった戦争の悲惨さを伝える本が数多くあるにもかかわらず、世界から戦争がなくならないのはなぜだろう。

今でも戦争はだめだ、核兵器も禁止だと叫ぶ人がいるのに、
戦争も核兵器もなくならないのはなぜだろう。

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