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葛藤
そのまま歩き続けたら天国。
振り向いたら地獄。
今日はあの子と2人きり。
雨が降る代々木公園を歩いている。
僕は緊張している。
先を歩くあの子は何を思っているだろう。
こっちを向いたらタイミングが来る。
まだ、歩いていたい。
あの子はどう思ってるだろう。わかれないかな。
春。
薄く透明な水に墨汁を少し混ぜて溶かしたような淡暗い空。
空から落ちてくる雨は、何を含んでいるんだろうか。重く傘に当たる。
その音が鼓動と重なって余計に落ち着かない。
あの子は先を行く。
女の子は勘がいい。
僕が何をしようとしているのか、もう悟っているのかもしれない。
この雨は止まない。
なんで振り向かないのかな。
タイミングがあるのかな。
振り向いてほしいようなほしくないような
霞降たる空気が立ち込める。
あ、止まった。
審判の時が来た。
胸がドキドキする。
僕の接近は止まらない。
彼女に追いつく。
まずは優しく声をかけよう。
「どうしたの?」
沈黙を纏う彼女。
「そっか」
ふと、なぜだろうか。
肩の荷がフッと軽くなったような気がした。
「ねぇね、
僕たち、別れよ。」
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