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映画「おとなの事情 スマホをのぞいたら」

ある出来事をきっかけに結びついた3組の夫婦とひとりの独身男性。彼らは年に一回集まって友情を育んでいた。ところがある参加者の発言がきっかけで「スマホに届くメールと電話のすべてを全員に公開する」ゲームを始めることに。後ろめたいことは何もないと言いながらも全員がスマホが鳴らないことを祈っている。なぜなら、そこにいる誰もが“絶対に知られたくない秘密”を抱えていたから! スマホに着信があるたびにパーティは修羅場と化していき、7人は想像もしなかった“決断”を迫られる!
―――公式サイトより


一言感想 「だからって」
イタリア映画のリメイクなんですよね、こちら。
その点を念頭に置いて観たほうがなんとなくしっくりくるかも。
時に登場人物の言動行動が極端で、それぞれ事情・理由は示されるものの「それを理由にその行動を取るか?」と思わされた点も随所にあって、そこは「海外の映画の設定や展開を日本版に持ってきた」という経緯を知っておいたことで、個人的にはあまり気にならずに済みました。

基本的に本編がすべてひとつの部屋の中で完結している点が特徴的で、ちょっと舞台演劇みたいな映画です。(この点はオリジナル作品に準拠してます)
コメディで、特に中盤までは結構ドタバタした感じだけど、夫婦の裏表だとか、登場人物の本性のエグさみたいなものも描かれるので、スッキリするというよりはややダークな笑い。かつ「登場人物たちの最終的な結論」みたいなものは描かれずに終わるタイプの映画です。
(日本版はその中でも最終的に「いい話」を差し込んでますけどね)

オリジナルのイタリア版も気になって観てみたことで、「なぜこの映画がこういう展開・構成になっているか」ということはより理解できた気がしますが、そのあたりを含めた感想はまた後日。

「過ちを犯すのも争うのも、人間だから。生きているから」という結論に繋がるための流れ(日本版オリジナル設定)もある程度頷けるものの、やはり「だからって」という気持ちも拭えず、そして登場人物達の「その後」が気になります。
実際には解決してない事柄が多いので。どうするんだろうな。

以下雑感。
●セレブな医師夫妻と、団地住まいの一般家庭夫妻、対比させたいんだったら一般庶民のパート主婦役が常盤貴子というのはどうなのか。
演出からしても、もっと「下町のオバちゃん」的な役者さんのほうが合ってた気もしますが、そこは興行的な理由とかかしら。やはり人気のある美人女優さんの出演は重要なんですかね。
●東山紀之氏、予告で「モテない独身男」という紹介文が入った時点で「いやいや・・・」と思ったけど、髪型や眼鏡・服装で意外とダサくはなってました。いい意味で。
ただいかんせん、この映画の性質上多用される「座ってる上半身のアップ」に、堂々とした佇まいが滲んでしまう。
背筋がスッと伸びて上体が安定してることで、役柄上抱えてる筈の自信のなさや葛藤があまり伝わってこなくなる時がありました。
まあ、中身が中身だし、これまでのイメージもあるから、これは結構難しい話なのかな。
●鈴木保奈美演じる女医役の終盤からの言動行動、彼女ゆえのチャーミングさはあったものの、さすがに釈然としない対応は日本版オリジナルの設定ゆえだったようで。ここが一番「可愛さで押し切ってた」感はあり。
●これを言ったら元も子もないけど、パートナーとの間に隠し事がなくても、友達に伝えるのは憚られる事柄(作品の中にも出てきたけど、家庭内の事情や通院等)は普通あると思うので、所謂「やましいこと」がなくてもコレはやらないだろう、というのは日本人に強い傾向なんでしょうか。
まあ、そこは作品の前提として目をつぶるべき、という事かもしれませんが。

しかし、「友人宅に集まって和気あいあいとホームパーティー」なんて、普通の筈の設定が今は非日常ですね。
なんてこともふと意識してみたり。

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