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19【10年以上続く事業】となるための事業計画作成法⑫~価値提案のためのインタビュー方法【インタビュー相手の話から有効な情報を抽出する方法】

「私の住んでいる地域を元気にしたい!」そんなあなたの想いをサポートしたい!Мの行政書士・上杉哲哉です。(福島県会津若松市と栃木県日光市に在住しています)


前回は特別編で、インタビューに不可欠な質問力について学びました。

今回は、前々回までに学んだ内容の続き、③インタビュー相手の非言語コミュニケーションの考え方、④事業を構想した人がインタビューする、⑤インタビュー相手の話を分析する、について学びを進めていきます。

これらのポイントを学ぶことで、自分の事業に必要なインタビュー相手の話から、有効な情報を抽出することが可能となります。

それでは、インタビュー相手の話から有効な情報を抽出する方法について一緒に考えていきましょう!


(1)インタビュー相手の非言語コミュニケーションに注目する(インタビューポイント③)

質問力を向上させることで見えてくることもあります。それは、インタビュー相手が、実は自分が起業しようとしている市場のことを熟知していない…という側面です。

このように、事業展開しようとしている市場を熟知していないインタビュー相手からは、いくらインタビューしても有効な情報を得ることはできません。よって、できる限り早くインタビューを終了させることが、起業時に足りないとおもえる時間の節約につながります。

では、どうすれば、相手が市場を熟知していないと結論付けることができることができるのでしょうか?

それは「非言語コミュニケーション」に注目することです。質問する時に以下の点に注目すると、事業展開する市場を熟知していないことが見えてきます。

●表情
→真剣な表情か?
→特に課題を語るときの表情が真剣かどうかに注目する。

●仕草
→インタビューに集中しているか?
→足をゆする、目が泳ぐなど、落ち着かないボディランゲージをしているかどうか?

●態度
→前のめりになっているかどうか?

●発言
→特に「話していて、気が付いたんですが…」という発言がある場合、問題意識が高いといわれているので、続けてインタビューする指標となる。

以上の4つのポイントに注目すると、インタビューを継続していいかどうかが見えてきます。


(2)事業を構想した人がインタビューする(インタビューポイント④)

インタビューをするときには、事業アイデアを構想した人が行うことが重要です。

実際の現場では、複数人で事業を行う場合に事業アイデアを構想していないメンバーがインタビューしていることが多いという統計結果があります。

その理由は、複数人で事業を実施する場合に、クリエイティビティな才能がある人が事業構想を担当し、コミュニケーションが得意な人が営業担当となることが多く、コミュニケーションが得意な営業担当がインタビューを行ってしまうからです。

よって、意識的に事業構想担当がインタビューする意識を心にとめておくことが重要です。

しかしなぜ、事業構想を担当した人がインタビューすることが大切なのでしょうか?

それは、事業構想した人が、事業につながる課題を熟知しているからです。「○○という課題を解決したいから事業を構想しました!」
「○○という課題に伴う痛みをどうにかしようと思って事業を構想しました!」

このような思いを持つ人がインタビューするならば、課題、痛みの深みまで質問するようになります。よって、事業構想した人がインタビューすることが大切なのです。

事業構想した人がインタビューしなかったことで失敗を経験した事業あります。民泊マッチングサービスの最大手であるAirbnbです。

事業構想したブライアンチェスキー氏はインタビューをしなかったそうです。その結果、事業を開始した時点で致命的ともいえる欠点が出てきました。それは、民泊のオーナーがアップした民泊宿所の写真の多くが、とても泊まりたいと思えないようなものばかりになっていたことでした。

チェスキー氏は、民泊に出す民家とは、ぼろぼろのものばかりだったのだろうか…と落胆しそうになりましたが、あきらめきれずに、民泊オーナーのもとを自ら訪れ、ヒアリング(インタビュー)して回ったのでした。

すると…
民泊に出す民家の多くが、写真とは異なる見事な民家ばかりだったことに気が付いたのです。オーナーになぜ、民泊宿所の写真が見栄えどころか、見劣りしてしまっているものとなっているのかを聞いたところ、オーナーの多くは、写真を撮ることが苦手であるという事実に気が付いたのでした。

この民泊オーナーの欠点に気が付いたチェスキー氏は、美大学生にカメラをかりて、自分で民家のスペックを最大限に表現できる見栄えのする納得のいく写真を撮り、サイトにアップし直したそうです。

結果として、Airbnbは大成功し、現在では世界的企業となるまでに成長するようになったのでした。

このように、事業構想した人がインタビューすることが事業を成功させる秘訣となるのです。


(3)インタビュー相手の話を分析する(インタビューポイント⑤)

インタビュー相手や、事業開始直後の顧客の声は、事業に関心があったとしても、そのままかき集めただけでは重要な情報を見逃してしまうことが多いです。

その理由は、事業開始前や事業開始直後は、所見の事業であり情報を集めやすい期間でもあるので、情報量が過多になり、しっかりと整理・分析しなければ、何が重要なポイントなのかを見逃してしまうからです。

少ない人数でのインタビューであっても、新規事業でもあるので、情報量は多くなりがちです。

そこで、集めた情報を整理し、分析することで、重要な情報を抽出する必要があります。

その分析方法として有名な手法がKJ法です。

【KJ法による情報の整理・分析の手順】
①インタビューデータの一つ一つをカードに書く
②カードに書かれた情報で分野が似ているものをグルーピングする
③グルーピングされたものを再検証し、グループの統合・分割が可能であれば、分割・統合をし、さらなるグルーピングを行う
④グループごとに適切なラベル(タイトル)をつける
⑤グループ同士の関連性を論理的に整理する
⑥グルーピングされ、論理的に整理されたインタビュー情報を見て、課題の真因の言語化を試みる

インタビューした情報のすべてをまとめられる方法であれば、KJ法でなくても大丈夫です。膨大なインタビュー情報をまとめるという意識が重要です。

(KJ法に関しては、様々なサイトで説明されているので、「KJ法」でネット検索してみることをお勧めいたします)


ーまとめー

今回は、自分の事業に必要となるインタビュー相手の話から有効な情報を抽出する方法について考えました。

・インタビュー相手の非言語コミュニケーションの考え方
・事業を構想した人がインタビューする
・インタビュー相手の話を分析する

今回の3つのポイントは、「当たり前のことでは?」と感じる方も多いと思います。しかし、実は、多くの方が見逃しがちです。あの世界的事業となったAirbnbでさえも見逃してしまい、致命的な欠点を抱えたまま事業を始め、危うく事業が失敗終わる可能性もあるほどでした。

今回は、当たり前だけどとても重要となるインタビューポイントについて考えました。

次回は、今回まで学んできた価値提案のためのインタビュー内容をまとめる方法と、そこからどうすればソリューションとなる事業構想につながるのか…について、考えます。

最後までお読みくださりありがとうございました。

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