国内トップMBAとグロービスのちょっとリアルな比較

前回の投稿からかなりご無沙汰なのであらためて自己紹介させていただくと、元戦略コンサルタント⇒現在は飲料メーカーで新規事業開発や既存事業再建をやっているアラサーのビジネスマン(早稲田MBA卒)です。
詳しい自己紹介はこちらから

実は早稲田MBAを卒業してからグロービスの単科講座(マネジメントスクール)を2つほど受講しまして、「国立/私立MBA同士の比較サイトはあるけど、国立/私立MBAとグロービスの比較サイトってあまり見かけないな」と思ったので今回投稿しました。
完全に独断と偏見ではありますが、実体験に基づいた比較ということでこれからMBA受験を考えている方に少しでも参考になれば嬉しいです。


1.比較の前に注意事項

・どのMBAを受験しようか悩まれている方への内容となっていますので、「そもそもMBAって何?」という部分にはあまり触れていないです。MBAについては飯野先生(旧Windmill Education、現アガルートアカデミー講師)の解説が詳しいのでよければご参考までに。

https://www.agaroot.jp/domestic_mba/about_mba/

・「グロービスマネジメントスクール(単科講座)」と「グロービスMBA(一般的なMBAと構造は同じ)」は厳密には異なるのですが、前者の取得単位はグロービスMBA編入時に使用できるので、今回の内容では概ね同じ理解で差し支えないと思います。
・あくまで当時(4年前)の早稲田MBAとの比較になります、もしかしたら現状は変わっているかもしれません。


2.結論

先に結論から申し上げますと、


4年制大学で国立上位または早慶を卒業していない方は国内トップMBA(早稲田・慶応・一橋を想定)、卒業されているならグロービスMBAが個人的にはおすすめです


もう少し具体的に書くと
・国内トップMBAがおすすめ:「卒業後の転職」や「社内外の人脈形成」などビジネスパーソンとしての総合的な市場価値を高めたい方(要は学歴ロンダリング)
・グロービスMBAがおすすめ:既に上記のメリットを享受できており、よりビジネスパーソンとしてのスキルを磨くことを重視する方


3.比較サマリーと比較項目の解説

次に、これまでに自分が実感した双方のメリット/デメリットについて解説していきます。以下が比較項目と個人的な評価です。(PPTの図表とかスクショをそのまま貼れたらいいのに…)

1)カリキュラムの質:グロービス>早稲田
グロービスの方が優れているという評価です。
理由としては、グロービスは会社としてしっかりとカリキュラムが練られているので講師によってばらつきがない一方、早稲田はカリキュラムに教授陣の個性が強く出るので講義内容にばらつきがありました。(ばらつきは当たり外れとほぼ同義)

例えば、同じ「ファイナンス」でもExcelでDCFの計算ができることを目的に講義する教授もいればファイナンス理論を細かく説明する教授もいたり、「財務会計」でも大局的な視点でPL理解を推奨する教授もいればほぼ簿記の内容を教える教授もいたり。
教授によって内容が異なることのメリットもあるのかもしれないですが、個人的には合う合わないがフタを開けてみないとわからないのは結構リスキーでした。(ちなみに自分の知能ではファイナンス理論の詳細が理解できなかったので別講義のファイナンステキストで自己勉強したことも…)

グロービスのカリキュラムは講義スライドや課題資料が全体的にわかりやすく、かつトップダウンで作成されているのでどの講師でも幹となる部分は同じという安心感がありました。課題も実際のビジネスシーンへの活用を意識した内容なので確実なインプットや成長という意味ではグロービスかと思います。


2)学生の質:入学時は早稲田>グロービス、卒業時はおそらく同等
早稲田は国内MBA(夜間)では人気No.1、倍率も3倍近いので合格するにはそれなりに試験勉強するか相当優秀な地頭が必要です(自分は前者)。ちなみに早稲田MBAはビジネススクールの国際認証であるAACSBとEQUISを取得しています。

一方のグロービスの倍率は非公表なのでわかりませんが、入学者数の多さ(だいたい早稲田の3~4倍)を考えると1.1~1.2倍程度と勝手に予想しています。誤解がないように補足しておきますと、グロービスの理念が「日本のビジネスパーソンの幅広い育成(うろ覚えですが)」だったので入学時のスキルセットはそこまで重視していないのだと思います。

上記から、入学時における学生の質は早稲田の方が高かったように思います。実際に講義での学生の発言量も早稲田>グロービスでした。
ただ、前述の通りカリキュラムの質はグロービス>早稲田なので卒業時にはほぼ変わらない、というかグロービスの方が上の可能性もありそうです。
実際に、毎年行われるMBA生のビジネスコンペティション(JBCC)ではグロービスチームが上位にいることが多いです。(早稲田は出場任意、そもそも関心ある学生が少ないので一概に比較はできませんが)


3)転職市場での価値:早稲田>>>グロービス
上述の通り、MBAで学ぶことによる直接的な価値はグロービスに軍配が上がりそうですが、間接的な価値では圧倒的に国内トップMBAです。特に卒業後の転職によるキャリアアップを目指すなら一択かと思います。

本質的には「上位大学の方が就職活動に有利」であることと同じ話ですが、それ以上に顕著な差があるように感じています。

「国内MBAは転職市場での評価はいまいち」とよく書かれていますが、外資系のトップコンサルファームや証券会社等を狙わなければ、国内トップMBAの市場価値は十分あると思います。
事業会社からコンサルファームに転職した同期が多く、実際に前職のコンサルファームではポテンシャル採用含め早稲田MBA卒のメンバーが毎年のように転職してきていました(最初3人だった早稲田MBA卒が今では10人程)。

グロービスの転職実績は把握していないのでコメントが難しいですが、人事含めた周りのビジネスパーソンと話す限りでは"MBA"いうよりは"資格の学校"のイメージが強く、履歴書評価や認知はまだ低いように感じています。
ブランドの差と言えばそれまでですが、ブランド力が最も模倣困難性の高い差別化要素なので転職市場における格差は埋まらなさそうです。むしろ国際認証取得でさらに広がるかもしれません。


4)社内・取引先との人脈形成:早稲田>>>グロービス
前項目が「他社の評価」とすると、この項目は「自社の評価」。
事業会社に転職してあらためて実感しますが、やはり経営層は上位大学卒が多いです(ちなみに今の部門長役員は早稲田卒、更にその上も早稲田卒)。

「学歴じゃなくて実力で勝負しろ」とツッコまれそうですが(というか以前の自分がツッコむ側)、社内のOB会等もあるので自分を認知してもらう場がるあることは意外と重要なんだなと思わされています。ここらへんは慶應MBA卒業生の方がはるかに実感してそうですけど。


4.おわりに

ここまで4つの視点から国内トップMBAとグロービスの比較をしてきましたがいかがでしたでしょうか。
それぞれに利点がありますが、最終的には「MBA取得に自分がどんな価値を見出しているか」に尽きると思っています。

自分が6年前に戻ったとしても受験するのは早稲田MBA一択です。なぜなら、当時の自分は間接的価値を求めていたし実際にその恩恵を実感できているから。
ただ、もし自分が4年制で早稲田大学を卒業していたらグロービスを選択しているかもしれません。(ちなみに国内の中堅MBAと比較するなら断然グロービス派)

長文になってしまいましたが、MBA選びの一助となれば幸いです。

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