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越えてはいけない友情。
気が合う、ってことを実感したのは、マックで同じものを頼んでしまった時だった。
それ以来、僕らは昔から一緒に暮らしていたかのように自然な関係を続けられた。
でもそれは、最初から恋愛を通り越した友情だった。
彼女は常に、僕に相談をしてくれた。
「憧れている先輩に嫌われたくないから」
という名目で、ケータイでメールする時間ばかりだった。
いつも真摯に受け止めて答えていたけど、残念ながら僕の気持ちを問われることは一度もなかった。
だけど僕はそれでよかった。
自然な関係でいられる彼女がそばに居てくれるだけで、幸せだった。
受験を直後に控えたその年に、二人で初詣にでかけた。
人だかりではぐれないようにとしっかり手を握った時、ぎゅっと握り返してくれたけど、うつむいたままの君の気持ちがさっぱり分からなかった。
お互いの進路が決まった時も、そうだった。
うつむき加減の君は、がんばろうねと小さく応援してくれた。
だから僕も同じ言葉を返した。
彼女は、あこがれの先輩を追いかける為の進路だったから。
最後まで、その先輩が誰だったのかは明かされないまま。
恋愛を通り越した友情は、卒業式と共に終わってしまった。
1ヶ月後に届いた「寂しい」の一言で、僕は君に会いに行った。
たった1ヶ月でも、満面の笑みで迎えてくれた。
だから、恋愛も友情も通り越した先にあるのは、愛情だと思ってた。
しかし、彼女を求めた僕は、「もう二度と来ないで」と、拒絶された。
後ろを振り返らず僕は去った。みじめな敗走兵のごとく。
その日、彼女の連絡先と一緒に淡い気持ちも消去した。
友情は、友情のままでよかったのに。
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