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かおいろ。

今日のキミは笑顔だった。
だからボクも笑顔で話しかける。

「今度、あのパン屋さんに行こうよ、おいしからさ!」

今日のキミは疲れ顔。
だからボクも疲れ顔で話しかける。

「なにか、手伝えることはある?」

今日のキミは悲しい顔。
だからボクも悲しい顔で話しかける。

「どうしたの?なにか嫌なことあった?」

今日のキミは楽しそう。
だからボクも楽しくなる。

「いいことあったの?教えてよ」


毎日キミに合わせて話しかけた。

キミの気持ちと、生きてきた。

だからいつしか、ボクの気持ちが分からなくなった。

キミに何かを聞かれても、

ボクはいつだって「なんでもいいよ」になってしまった。

キミへの思いと引き換えに、ボクは「かおいろ」を失った。


だから、キミの為に生きたことは、間違いだった。

花に囲まれ眠るキミを見て、お別れの言葉すら、浮かばないから。


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