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返されたラブレター。

青空にたなびく青いリボン。

見慣れたいつもの校庭で、見慣れないポニーテールのキミの姿を、今でもハッキリ覚えている。


自転車で通うようになっても、目指す校舎は同じだった。

11年の月日が流れても、距離感なんて変わらなかった。

だからこそ、気になっていた。

特別に会話しないけど。

特別に知り合いだからと言わないけど。

特別にお互いを知っているわけでもないけど。


その時の気持ちを綴った会心作を、キミに届けた。

やりきった充実感と、達成感。

すっかりボクの心の花は満開で、自分の勇気を褒めたたえる。

そして、返事の行方が気になりだす。

ボクのキモチは伝わったかな、と。


灰色の昼下がり、視界を遮る秋雨に、足元ばかりを見て歩く。

雑踏にまみれた下駄箱で、雨声に紛れたキミの声。

振り返れば神妙なキミの顔と、ボクの会心作。

それは「読みたくない」の一言を添えられて、戻ってきた。

音の消えた雑踏から、ボクは秋雨を遡るように駆け出す。

沸いていた心を冷やすように、

水たまりを踏み荒らし、

その手にある会心作を握りつぶして。


数え切れないほどの後悔をした。

伝えるのではなく、聞くべきだったから。

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