「上司が無能だと部下が育つ」を実践した結果、空中分解した話
タイトルにある格言とも迷言とも言えるこの一文。
実際にこれを愚直に進めると、チームは見事に空中分解します
なぜ空中分解したのか?
そもそも空中分解ってどういう状態?
空中分解したその後は?
という疑問点の回答と対策を含め、部下側の私の実体験を記事にしてみました。
なお、「有能と無能の判断基準」は私の主観で書いているため、客観性を欠いている点はご理解願います。
みんなで有能になる
平然と定例ミーティングを忘れたり時間超過する
納期が切れている仕事を部下に渡す
他部署とのトラブル時は沈黙を貫く
部下の作った資料は徹底的に修正を指示し原型を消す
良い成果が出た時は担当を同席させずに報告し、悪い成果の時は担当を連れて説明させる
よくある無能な上司A。
そして私は、10年以上その部下として働いていました。
同じチームには、
いつも最短コースで仕事をこなす効率型の同僚B
定年退職カウントダウン中の新入りおじさんC
感覚がズレているけど確実に仕事をやり切る後輩D がいました。
常々、上司Aの無能っぽさに参っていた時、同僚Bが提案してくれました。
「上司Aを抜きにして仕事を進めてしまおう」
会社員はそんなの不可能・・・だと思われますが、矢継ぎ早に仕事をバラまいてくる割にはその後のフォローを全くしない(仕事を渡したらそれで終わったと誤認する)上司Aですから、来た仕事を上司Aに通さずに進めることは実際に可能でした。
振り返るとモラル的に問題のある行動ですが、当時の私たちには「ナイスアイデア」だったのです。
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早速バラまかれた仕事をそのように進めたところ、限りなく快適かつスムーズに終わりました。
定例ミーティングの時にも、こちらから積極的にやった事を報告しました。
「その件は、もう提出して終わってます」
「なぜ俺に黙って提出するんだ!」
・・・なんて怒られる想定をしていましたが
「お、気が利くね、ありがとう」
と言われる始末。
最初は私と同僚Bがそうやっていましたが、おじさんCと後輩Dも同じように仕事をするようになりました。
定例ミーティングでは正直に報告をし、都度上司Aから「ありがとう」という感謝を述べられることが増え、チーム全体の仕事効率は格段に上がっていきました。
皆が有能だと自覚した瞬間でした。
思わぬ辞令
もちろんこんな栄華はすぐに衰退します。
上司Aの監視していない範囲で仕事が進むため、上層から褒められた事がきっかけで上司Aが全く把握していないことが明るみになりました。
上層から、上司Aとチーム全員が呼び出しされ仕事の管理体制の注意を受けました。
当然ながら仕事の流れは以前のように戻り、メンバー各々のモチベーションは大きく低下しました。
そのタイミングで、私は部署異動もさせられました。
半年前から告知されていたので罰を伴うものではありませんでしたが、間が悪く残ったメンバーの状態も気がかりでした。
異動先で仕事をしている時、私はようやく上司Aが無能だったという確信を得ました。
なぜなら、その部署では業務割り振り、フォローされるタイミングや報告など多くの事がルーティン化され、愚直に実行されていました。
前の職場ではぬるま湯に浸かっていたと、考えさせられました。
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新しい職場に慣れ、もうじき1年が経とうとしていた時、思わぬ連絡が入りました。
「同僚Bと後輩Dが退職するので、旧職場に戻ってきなさい」
聞いた時は愕然としました。
私自身もちょうど前向きな気持ちで今の職場で働いていたからです。
しかし、
「これは一大事だ、なんとか旧職場を持ちこたえさせないと」
という自己犠牲の精神が優位に立ち、即答してしまいました。
空中分解
旧職場に戻ってから新たに、
別部署からの新入り同僚Eと、
新入社員F
が同僚Bと後輩Dの穴埋めとして補充されました。
二人には一刻も早く戦力になってほしかった為、仕事のやり方は以前成果を挙げた上司Aをスルーするやり方を踏襲しました。
さも、それが当然のように。
チームの状況は悪くなく活気があったのですが、1年生を二人抱えた状態で担当者二人分の業務負荷は相当堪えました。
私は半年で大きく体調を崩すことになりました。
もちろん、無能な上司Aはそんな私の状態に気づきもせず、体調を崩し突発で休んだその日に初めて気づくことになりました。
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私が体調を崩したことがきっかけで、職場として仕事の推進力は大きく低下しました。
成果の出ないチームに対して、無能上司Aがとった行動は、
「上司A自ら自分でやる」
でした。
同僚Eがやっていた仕事を途中から上司Aが作業に入り込み、結果として同僚Eの存在意義は消されてしまいました。
当然、新入社員Fも仕事を振られることはなくなり、
「参考書を読んでおけ」
の毎日になりました。
私も体調の悪さを抱えながら従事していましたが、仕事を減らされ(体調不良だったので仕方ないのですが)、雑用ばかりで、私が新入社員だった頃の仕事にドンドン戻されていきました。
こうして、私達担当者が時間を持て余していると、上司Aは自分自身が忙しい事を我々に誇示し、さも威厳を取り戻そうと必死になっていました。
当然ながら上司Aでは仕事が捌ききれなくなり、仕事の質は低下し、他部署からのクレームや上層から風当たりは厳しくなるばかりでした。
有能は必要か?
ここまでの話で、空中分解は始まりました。
元々メンバーから信頼されていない上司Aでしたが、上司Aからもメンバーの信頼がなくなりました。
双方向での信頼がなければ、チームとしてはただ崩壊していくだけです。
末期症状の一例として、こんな出来事もありました。
当時リアルタイムでその場にいた私にとっても、悲惨な状況でした。
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こんな状況が続いていた事から、私、同僚E、新入社員Fも転職の道を模索しています。
崩壊は現在進行形です。
現在、業務管理体制は上司Aのやり方に戻っており、同僚B、おじさんC、後輩Dがモチベーションを大きく低下させてしまった状況から何一つ変わっていません。
結局、同僚E、新入社員Fも全く同じモチベーション低下を体験することになったのです。
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結局のところ、
上司Aの無能加減が最高潮だったときにチームの成果は最大になる
上司Aの能力を駆使して管理を強めると、チームの成果は小さくなる
という現象を確認することができました。
「上司が無能だと部下が育つ」は真実だと思います。
しかし、チームの成果が大きくなるとメンバーは自立してしまいます。
私の体験では極端な「退職」という状況でしたが、有能な部下はいずれ道を別れる運命にあるのではと思います。
部下側の意見になってしまいますが、有能な部下は管理を緩めるほうが得策なのかもしれません。
その後
チームとして大した成果も残せなくなった現在、部署としての存在価値ですら下がっています。
会社の組織表を見ても、私達の業務内容を冠した部署名は消えてしまったからです。
そして、この状況を改善すべく無能上司Aは更なる管理の徹底を強いることから、悪しきスパイラルは留まることを知りません。
上司Aへの信頼感はゼロですが、本人もそれを自覚し初め、もっぱら「上司」というポジションを死守するためのマウンティングが日々行われています。
そもそものきっかけは「もっと効率よく仕事をしたい」でした。
やり方には少し疑問が残るものの、上司Aを飛ばし自分たちで仕事をやりきる喜びを知ることができ、無能な上司Aも成果に対して満足していました。
有能(だと自信を持った)な部下が揃い、チームとしての成果も出ている体験は夢のような時間でした。
それでも1年も満たない間にメンバーは散り散りなり、あの時のチームの活況の面影は全くありません。
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「上司が無能だと部下が育つ」は真実です。
ただし、育った(有能)部下をどう扱うかに関して、無能な上司は何も手を打つことが出来ないため、あっという間に空中分解するでしょう。
・・・そして2年後。
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