連載記事#00|無意味な環境活動から脱却する前提条件とは?《ISO14001解説》
今やほとんどの企業が取り組んでいる環境活動。
サステイナブルやSDGsなどの源流とも言える社会問題の一つで、20世紀後半から解決に向けてきた歴史があります。
しかし、昨今の環境活動って達成感のないイメージではありませんか?
ゴミを捨てるのに手続きが多い
もったいないという言葉と共にサービスが悪くなった
CO2削減と言いつつ消灯ばかり
環境の為にと言いつつサイレント値上げ
一向に改善されない地球環境と自分ではどうにもできない無力感
なぜそんなイメージになるのでしょうか?
原因の一つとして、自分たちの努力によって環境問題が解決しているか分からないことが挙げられます。良いことやってるけど、その恩恵を肌で感じにくいのが環境活動です。
さて、私はそんな環境活動について入社以来18年間携わり、取り組みを強化する施策を幾度となく展開してきました。とりわけ、国際規格のISO14001の運用にも長らく携わってきました。
しかし順風満帆ではなく、上述したようなイメージから多くの反対意見や抵抗がありました。
環境のために、という大義名分は嫌われる傾向にあるのが事実です。
そんな逆境に立ち向かった18年の経験をもとに
「確実に成果を感じる事ができる環境活動」
について、連載記事として紹介したいと思います。
同じ境遇にある方々の一助となれば幸甚です。
どうぞ最後までお付き合いをお願いします。
成果を感じる環境活動にするための前提
具体的な説明に入る前に前提条件があります。
実はこの前提条件こそ活動を進めるために一番「考え方を変えなきゃいけないポイント」です。
難しいことが多いかもしれません。
必須条件ではありませんので、参考にしてみてください。
1.制限をしないこと
あれはダメ。
これはダメ。
など、「してはいけないこと」を提案すると活動を萎縮させてしまいます。
環境活動ではこういった制限をしがちです。なぜなら、行動を抑制することが直接的に環境配慮に繋がりやすいからです。
これを私は「我慢を続けること」と表現しています。
我慢をし続けることは問題解決にはなりません。先延ばしにしているだけですから。
2.主語を環境にしないこと
環境のためにこれをする。
環境のためだから。
活動の主語に環境という単語を当てはめる行為も、活動を萎縮させます。
その理由は、責任の所在が環境という広大で見えないものなってしまうからです。他人事(自分に痛みが無い事)は、状況が悪くなった時の逃げ道になります。当事者意識を失うとやる気が削がれる事を理解しておくべきです。
3.範囲の限界があると知ること
地球規模の気候変動問題へ対応する。
公共用水域(河川、湖沼、海洋)への負荷を低減する。
よく企業が使うフレーズではありますが、自分たちが影響を及ぼせる範囲はごくごく一部であることを理解しておくべきです。
地球規模の環境問題を目の当たりにすると「なんとかしたい」を考えるのが普通です。しかし、全ての問題を解決することは不可能であると、最初から限界を知っておくことが大事です。
(限界は「決めるのではなく」、「知っておくこと」です)
4.結果が出ないことを責めないこと
目標に対して未達成。
環境活動において定量的な指標で管理することは多々あります。だからこそ、結果も定量的に測られます。
しかし、これらが未達成だからといって挽回策を講じるなどして結果系を取り戻そうとすることも活動を萎縮させます。
お金や健康診断とは違い、その影響を及ぼす範囲が微力であることを考えれば、取り戻すことに躍起にならなくてよいのです。
無意味な環境活動にしないためのポイント
それでは具体的な説明に入ります。
ここからは環境活動を円滑に進めるための環境マネジメントシステム=ISO14001の解説をしながら、その事例とポイントを記事にしています。
とりわけISO14001に関する専門的な用語が環境マネジメントシステムの難解さを助長しています。
要求事項の解説
用語の定義
など、教科書的な記載は極力控え、分かりやすい意訳や事例から解説します。知らない人にも分かりやすい文章を心がけていますが、ある程度業務で担当したことある人向けの記事になります。
(ISO14001の解説がそもそもニッチですけど)
ぜひ気になった項目から御覧ください。
#01 心に響く環境方針の作り方
#02 ピンチとチャンスは表裏一体(リスク及び機会)
#03 原因と結果に置換(環境側面と環境影響)
#04 目標は数値化が全てでない(環境目標)
#05 プランとスケジュールの違い
#06 スキルは身につけるのではなく確保する(力量)
#07 文書化した情報とは?
#08 法律が全てではない(順守義務)
#09 ライフサイクル視点の管理とは?
#10 緊急事態と異常の違い
#11 評価のコツ(監視及び測定/評価/分析及び評価、順守評価)
#12 監査プログラムの作り方
#13 監査の目的と適合性/有効性
#14 上手なマネジメントレビューのコツ
#15 マネジメントシステムに傾注する落とし穴
#16 環境の担当部署は消滅すべき理由
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