見出し画像

防災|令和の時代に提案したい「4つのW」で災害に備えよう。

2024.8.6追記
記事の執筆に際し参考にした情報のリンク先を追記しました。
各WEBサイトではより具体的かつ分かりやすくまとまっているのでオススメします。


読み物クリエイターの黒田です。

今回の記事は、私が現在会社で担当しているBCM/防災についての内容となります。

防災という単語は馴染みがあるものの、BCMという単語はあまり知られていないと思います。
BCMとは、

BCMとは、Business Continuity Managementの略で、リスクマネジメントの一種であり、企業リスク発生時にいかに事業の継続を図り、取引先に対するサービスの提供の欠落を最小限にするかを目的とする経営手段である。

Wikipediaより流用

・・と、定義されているようです。
平たく言えば、

会社が災害によって大ピンチに陥った時でも、業務を継続させるための作戦

と言えます。
防災と言う単語とほぼ同じ意味だと捉えて支障はありません。

さて、防災と聞けば、

「どんな状況でも困らないよう、できるだけ備品は多いほうがいい」

と思う人が多い一方で、

「数十万円も防災備品に使うのは勿体ない・・・」

という必要だと思うけど投資できない壁に悩むことでしょう。

私自身も、防火・防災管理者(国家資格)を取得し、社内で事務局として携わって1年が経過しましたが、その悩みは尽きません。

しかし、そんな状況でも絶対に準備しなければならない

4つのW

に気づきました。
今回はこの4つのWを解説してみます。

なお、この記事は個人の備えではなく、2000人規模の組織(企業、団体)を前提にした経験則となります。
個人でも全く参考にならない訳ではありませんが、上記条件を元にした記事である旨ご承知おき願います。


1つめの【W】 Water:飲用以外の水


従来の災害への備えとして、飲料水の確保が挙げられています。
しかしながら飲料水の必要量より飲料以外の水の必要量のほうが多いことを理解しておきましょう。

【参考:国土交通省 近畿地方整備局 阪神・淡路大震災の経験に学ぶ】

1)トイレ

大半の水洗トイレは「電気」「上水道」「下水道」の3つが揃って初めて使用できます。
大規模災害時はまず使用できなくなると想像しておくべきでしょう。

健常な人のトイレの頻度は6~7回/日と言われ、水の使用量は3リットル/回が平均となります。
もちろんトイレ用水を準備できるのであれば良いのですが、難しい場合はドライ(凝固剤)タイプのトイレを準備します。
汚物を「ゴミ」として処分すると衛生問題も解決できます。

【参考:NPO Japan Toilet Labo 日本トイレ研究所】

2)洗面、洗体

トイレ以上にお風呂は多くの水を使用することになります。
当然、災害発生直後はお風呂には入れないと想定すべきです。
とはいえ、お風呂は個人の生活の話であり、企業として備える項目ではありません。

しかし、全く準備の必要がない項目ではありません。
建物が部分的に崩壊した場合でも、砂埃が巻き上がります。また、救助活動などでガレキの撤去を行ったり、けが人への処置として洗浄する必要もあります。

飲料水でも代用できますが、災害時に飲料水を精製するのは大変です。
飲料水は飲料水として使用すべきなので、やはり洗面や洗体用の水を別で準備するのが望ましいです。

3)洗浄

最後は清掃用の水です。
これは私の会社の事情に影響を受けているのですが、地震によって古い建物内ではホコリが巻き上がることを想定しています。
その際、製造ラインを復旧するには拭き掃除は欠かせないと想定しています。
製造業では「防火用水槽」を設置している事業所が多くあります。
この水を活用してみてはどうでしょうか。

2つめの【W】 Waste:ゴミ処理問題


次に、災害発生後のゴミ処理問題です。

【参考:環境省 災害廃棄物対策情報サイト】

ゴミにも種類があるので、種類ごとにポイントを記載します。

1)衛生管理上の廃棄物

1つめの「W」にもあった、トイレから発生するゴミです。
凝固剤タイプが良い利点として、個包装できる点があります。

想像していただくのも申し訳ないのですが、個包装せずに一箇所へそのまま廃棄すると、衛生問題は対数的に悪化します。その場所に近づくことすらできなくなるでしょう。
また、災害時にそんな場所を清掃する手段もありません。
不衛生な状況からの感染症(胃腸風邪など)の蔓延は、最も危険な二次災害と想定しておきましょう。

なお、個包装して貯めておけば、管理(例えば廃棄処分のための移動など)が楽になります。大きめのポリバケツやストッカーなど、いざという時の大きなゴミ箱になりそうな容器を持っておくと更に良いでしょう。

2)使用後の備品

以外な盲点となるのが、使い終わった備品の後始末です。

危機的状況から開放され、ある程度整った場所での避難生活に移行できた際、一時しのぎで使用した寝袋や簡易マットが不要になったりします(持ち運ぶの面倒だったりする)。
ガス式発電機で使用した空のガス缶などもあります。

災害が起きてから考えればいいというアドリブの姿勢も大事ですが、使用後の備品を一箇所に集めておくなどの行動を取るだけでも、後の復旧がスムーズになるでしょう。

3)ガレキ、建材

最後は、災害発生後から更に時間経過した話となります。

崩壊した建屋等の復旧活動を行う上で、ガレキ処分方法を確認することが大事です。

全国のほとんど市町村で、「災害廃棄物処理計画」が策定されています。
そこで記載されているのは、市民の生活を守るための廃棄物処理計画であることがほとんどです。
つまり、企業の廃棄物処理は後回し(行政管轄ではない)ということです。

敷地内のガレキが上手く捌けないと思わぬ復旧の足かせとなります。
被災時の廃棄物処分ルートの確保も、事前に決めておくべきです。

3つめの【W】 Woman:女性への支援


私は男性なので、女性の気持ちや心理を100%理解していません。
そのため、細心の注意をはらい記述します。
なお、性的差別を助長する意図は全くありません。

災害発生時、救助活動や支援活動を実施するのは男性のほうが必然的に多くなります。
もちろん、自衛隊や医療スタッフには女性もいて、女性被災者から「安心できた」という声も報道されている記事を見かけました。
しかし、最初からそういった状況を期待して災害に備えるのは得策ではありません。

【参考:内閣府 防災情報のページ】

会社内で大きな災害に遭遇したことを想定した時、女性への支援として必要と思われる具体的なポイントは以下の通りです。

1)プライベート空間の構築

大規模地震などの発生直後、会社敷地内に一時的留まる可能性はかなり高いです。時間帯によっては夜明けを待つ場合もありえます。

そこでまず初めに避難空間に仕切り、もしくは部屋などを別にする配慮を行います。必ず一人ひとりを区別する必要はありません。一定間隔(例えば2~5人程度)に隔てられる空間でも問題ないと思います。

完璧な空間整備が必要だとも思いません。
視線を遮られる程度で良いと思います。
性別に関係なく、被災直後の心理状況は人によって様々です。
しかし、女性のほうがより繊細です。
BCPマニュアルなどにも記載すべきポイントだと思っています。

2)衛生管理と犯罪抑止

災害時だからといって有耶無耶にせず、トイレは確実に隔てるべきです。
また、良からぬ犯罪の抑止にも繋がります。

特別な備品の準備は不要ですが、被災時は男女差を意識した対応手順を考えておきたいですね。

4つめの【W】 Web:情報の取捨選択


最後は情報収集方法についてです。

【参考:内閣府 防災情報のページ】

情報社会(Society 4.0)なんてキーワードが数年前のトレンドとなりましたが、災害発生時の情報収集にインターネットはとても大きな役割を果たします。

数年前は「災害時はネットが混雑して頼りにならない」と言われていましたが、それは災害発生後数日程度の話であり、1ヶ月以上の避難生活が続く場合はやはり頼りになる手段の一つです。
(とは言え、被災状況によっては断言できませんが)

そこで、正しく効率よく情報収集する方法として、以下のような備えが有効と考えられます。

1)行政の情報

居住地の自治体のWEBサイトの存在は普段から意識しておくとよいです。
特に昨今は防災に力をいれている自治体もあり、防災専用のサイトが設置されていたりします。
LINE登録することで通知が届くシステムを採用している自治体もあります。
活用しましょう。

2)災害時の有用アプリ

特に仕事柄お世話になっているアプリがあります。

通知が届くという、受け身の姿勢で情報収集できる利便性を高く評価しています。
少々通知が煩わしいと感じるときもありますが、活用していて損はないと思います。

おわりに


いかがでしたか?
私の会社でも上述したすべての備えができている訳ではありません。行政、消防、自治区、防災を研究している大学など、多くの関係者から得られた情報をまとめてみました。

今回はBCM/防災と銘打ちながら、「備えや備品」にスポットを当てました。
この記事の反響を見た上となりますが、「体制構築の進め方」「避難行動」「被災後の行動」などについても書ければいいなと思います。

閲覧ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?