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キャリアアップと転職を混同してはいけない?

人材流動性について語られている昨今、転職を考えている人は多いと思う。多くの識者が有用な情報を発信しているので、具体的な転職HowToは専門家に任せるとして、一番最初の動機の部分について素人目線で記事にしてみた。

そもそもなぜ、転職したいと考えたか?

  • 人間関係や給与待遇が悪いから脱出したい

  • 会社の行く末が見えてしまった

  • やりたいことが別にある、夢を諦めたくない

  • なんとなく仕事に飽きたから

そんな動機がある中、

  • キャリアアップをするために転職をする

という動機もあるかもしれないが、それだけはちょっと待ってほしい。
損をする、というかキャリアダウンする可能性が高いから。

なぜキャリアダウンと言い切れるの?

そもそも論から入って恐縮だが、キャリアアップとはどういう意味かをしっかりと把握しておく必要がある。

①年収をUPさせる
これが一番しっくりくるかもしれない。たしかに「アップ」はするのだが、「キャリア」までアップするとは限らない。
前の会社と同じ仕事をしていても、単純に給料だけあがるケースは意外に多い。仕事内容のグレードアップとセットでつい考えがちだけども、そうすると求人情報は見つかりにくい。現状と全く同じ仕事で検索をし、年収が下がらなければそれでも十分である。
実際の採用面接などでは上手くやる必要があるが、年収UPという動機はキャリアアップとは別物と考えるべきだと思う。

②新しい分野に挑戦する
これも「キャリアアップ」と表現されそうなイメージである。
しかし、未体験の分野へ新しく一歩を踏み出すことは、ゼロからのスタートであることには変わりない。それが上手く伸びて、前に携わっていた分野と同等以上のスキルや経験が得られたなら、「結果としてキャリアアップできた」ことになる。
新しい分野に挑戦することを否定するつもりは無い。ただ、スタートラインに立っただけで「キャリアアップした」とは思ってほしくない。

③マネジメント経験を活かす
最後は少し限定的な内容であるけど、マネジメント(管理監督者)経験を活かすことを「キャリアアップ」と認識することである。
たしかにマネジメント論は、理論的にはあらゆる組織で共通するので転職の場面でも通用するイメージがある。
しかし、人を束ねる立場とは、たとえ理論に精通していたとしても、実際に束ねるべき人や組織を良く知らなければ全くマネジメントはできない。役職や地位に陶酔したまま腕を振るう管理監督者がいるが、会社がそっくり変われば影をひそめる人が多いのはそういう理由だ。
こういった人の場合、自発的な転職と言うより「ヘッドハンティング」などの形で知人に誘われるケースもあると思う。その際、役職なども上がることで一見キャリアアップに見えるが、単なる職場異動に過ぎない。


上記①②③のことをキャリアアップと考えて転職するのであれば、それは逆にキャリアダウンに直行してしまう。

じゃあキャリアアップはどうすればいいの?

キャリアアップを誤認していないか?
という点を強調してみた。

じゃあ、キャリアアップとはどういう意味なのか?

自分の得意領域を、しっかり伸ばすこと 又は 派生させる事

であると考えている。

しっかり伸ばすことというのは簡単に感じると思う。
例えば簿記の資格を持っていて、長らく経理の仕事をしていたとする。単純な経理業務からキャリアアップを考えるのであれば、決算などの広報分野に視線を移したり、資金調達や金融分野も考えてもいい。
派生するというのは、新しい分野への挑戦とイメージしてもいい。
経理業務を簡単にするためのプログラミングを勉強してもよいし、コンサルや税理士に挑戦するもの良いと思う。

どちらにせよ、今の自分のスキルや経験が出発点になることは同じ。
そう考えると、実は「転職」は必須条件ではない。
今いる職場であっても、勉強するだけでキャリアアップは望める。その勉強の成果が出た後で、待遇に不満などがあれば職場を変える(=転職)すれば良い。


残念ながら、収入UP・未経験分野への挑戦・マネジメント経験を動機とした転職では「キャリアアップ」は望めない。
どうしても、キャリアアップ=転職 となりがちだが、焦らずに自分のスキルや経験を振り返ってほしい。

本当の意味でのキャリアアップの可能性は、誰にだってあるから。


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