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涙の使い方。

無知をさらけ出したくなかったから。

なんとなく知っているという、曖昧なニュアンスだけで返事をした。

決して誰もボクを試しているわけじゃなかったはずだ。

でも、眼前に広がる聴衆を前にして、浅はかだった返事が突きつけた問に答えられなかった。

静まり返る講堂に押し返された両足が、細かく震える。

そもそも、だ。

誰もやりたがらなかったから、誰も責任を持とうとしなかったから。

誰かのために、を、誰もやらなかったから。

首から上が沸騰して、口元が勝手に麻痺しながら、
自分以外の全員を責めた。

誰かの所為にしないと、どこかに気持ちを追い詰めないと。

でも、誰でもない。どこにもない。

追い詰めるべき場所は、見つからない。

だから、仕方なく自分のせいにする。

悔しくて、悔しくて、そのまま壁に額を押し当てて。

足元に滴り落ちる、ソレはきっと、自分のためにある。

そう、次の、自分のためだから。

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