短編小説|本の墓場と螺旋スイレン #4
4.螺旋スイレン
救急隊の人から体調を何度も確認された。
脈拍は正常値、外傷もない、恐怖のせいか少し体の震えが止まらない程度。
救急車で運ばれるような状態ではなかったので、事務室の端にあるちょっと古めのソファで毛布にくるまれている。
周囲には救急隊の人が1名、警官が2名、図書館の警備員さんが1人。
そして山根さんが私の隣で体を寄せてくれている。
あの人影にタックルしたのは青少年センターの大山さんであることがわかった。腕に擦り傷を追ったらしく救急車のほうで簡易的治療を受け