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ラジオドラマ脚本 014

【愛が下から降って来たら面白いよね】 

きよみ 29歳 女性
さとる 29歳 男性

【SE】雨の音

きよみ(M)雨が、もし、下から振ったら、
愛じゃないよなあ。

【N】いきなりあたりが暗くなり、すごい勢いで夕立がふって来た。雷が遠くで鳴り響き、部屋の中には、同棲中の男女2人。

きよみ「ねぇ、人に優しくするって、なんで
なんだろう?」
さとる「えっ」
きよみ「人がさぁ、人に対して、優しくなるときがあるじゃない?なんでかな」
さとる「わかるだろ、あれだよ」
きよみ「あれって、なによ。ちゃんと、言わないと、伝わらないよ、もう」
さとる「だからさあ」

【SE】大雨の音

きよみ「優しくするための原動力は、どこか
らくるのかな?さとるくんは?」
さとる「難しいこと言うなよ」
きよみ「難しいこと?」
さとる「今日は、確か、きよみの誕生日だよ
な。、ごめん、忘れてないよ」
きよみ「Facebookにいっぱいコメントがきて
た、それも優しさだよね」
さとる「優しさが身に染みたんだ」
きよみ「なんだか、常日頃、血も涙もない人
みたいじゃん。」
さとる「素敵な女子ですよ」
きよみ「思ってる?口出して言ってもらえな
いとわからないよ」
きよみ(M)なんで、こうも捻くれるのか?
もっと、素直になれよ!きよみちゃん

【SE】小雨の音

さとる「今夜は、どうする?」
きよみ「なに?」
さとる「誕生日のお、い、わ、い、だよ」
きよみ「それね」
さとる「彼女の誕生日をお祝いしない彼氏っ
てどうよ」
きよみ「私は、大丈夫だよ」
さとる「そういうのやめようよ。悲しくなる
からさあ」
きよみ「ねぇ、さとる、雨が下から振ってき
たら、どうする?仮の話だよ」
さとる「そんな事、考えた事もないから、い
きなりなんだよ」

さとる(M)誕生日を忘れてたこと。そんなに根に持つことかよ。

きよみ「さとるの唐揚げが食べたいなあ?生
姜が効いたやつ。冷たいビールで」
さとる「愛情込めて、作るぞ」
きよみ「今は、それは込めないでいいよ」
さとる「意地でも、込めて美味しい唐揚げ作
るからな。覚悟しろよ」

きよみ(M)雨が下から降ったら、植物とか
育たないよな。あれ、さとるが険しい表情
をしてるぞ、どうしたの、さとる?

【完了】

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